古代アンデスのメディア!? 土器で伝えた情報
天理参考館 第86回企画展から
動植物を立体的に象り、神話にまつわる出来事が描かれた土器が伝えようとした世界とは――。天理参考館(春野享館長)の第86回企画展「器にみるアンデス世界――ペルー北部地域編」は6月14日まで開催中。16世紀まで文字がなかったアンデス地方では、土器が情報を伝達する媒体(メディア)の役割も果たしていたという。その多くは儀礼用の道具として使われたとされる。ここでは、展示品の中から、フルーツや動物など日常生活に馴染みの深いものから、神話の世界をあらわした土器などを、紙上展示する。
ジャガーとサボテン
(前1200年~前800年ごろ)
サボテンは、現在もペルーの呪術師が幻覚剤として使用している。「サン・ペドロ」という種といわれる
ミミズク
(前800年~前500年ごろ)
大きな目と飾り羽が特徴的
チェリモヤ
(前800年~前500年ごろ)
チェリモヤは世界三大美果の一つ。芳香を放つ白い果実は、クリームのように滑らかで甘酸っぱい
連結した果実
(紀元前後~後200年ごろ)
一見、パイナップルのようだが、「ペピーノ・ドゥルセ」と呼ばれるナス属の植物を連結したもの
人物とジャガー
(前200年~後600年ごろ)
人物像の両脇にジャガーを配置。ジャガーは信仰の対象であった
戦士とキツネ
(後300年~450年ごろ)
上部に戦士。胴部にはサボテンとキツネが描かれる。当時の神話世界では、キツネは王の力を増幅させる特別な存在であったという
戦士像
(後450年~550年ごろ)
衣装に描かれた円は、スパンコールの飾りと考えられる
カニ
(紀元前後~後200年ごろ)
カニなどの甲殻類は、ごみ捨て場で確認されるなど、当時の人々も食していたという
第86回企画展
器にみるアンデス世界――ペルー北部地域編
同館のTwitterでは、動植物が象られた土器を中心に、分かりやすい豆知識が紹介されている。
会期 ~6月14日
@tenri_sankokan