おやのことば・おやのこころ(2021年8月22日号)
神の道は心を直す。
「おさしづ」明治33年10月11日
コロナ禍のおかげで、夕方になると妻とウオーキングに出る習慣がつきました。結婚して37年になりますが、いつの時よりもたくさんの会話を歩きながらしていて、いまさらながらよかったと思います。時には道端で見たものをあれこれ話すのですが、先日、妻が通りかかったカイヅカイブキの生垣に、ほかとは違うトゲトゲの葉が出ているのを見つけたことから、癖・性分の話に花が咲きました。
排気ガスに強いことから、よく生垣などにされるカイヅカイブキという庭木は、柔らかで優しい葉をしています。ところが、これを剪定するときに枝を深く切り込みすぎたり、何らかの強いストレスがかかったりすると、そこから杉の葉に似た針のようなトゲトゲの芽を吹くのです。これを“先祖返り”といい、長い歳月をかけて柔らかい葉に品種改良されたものが、深く切り込まれることやストレスによって、何代も前に先祖の持っていた性質が顔を出すのです。
人も植物に似ています。長く道を通ってきたのだから、思わぬストレスがかかっても、先祖返りをせぬように、癖や性分が出ぬように、柔らかで優しいカイヅカイブキの葉のような心でいたいもの、と歩きつつ……。
癖といえば、若いころ床屋の主人から聞いた話を思い出します。当時、まだ太く直毛だった筆者の髪は切りづらく、整髪もしづらかったそうです。主人いわく、「直毛もクセ毛のうちやね。曲がらんというクセやね」。なるほど、と得心しました。
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