子供の「感性」育む自然体験 – 視点
昨年に続くコロナ下の夏休みとあって、家族単位でキャンプを楽しむ親子が少なくない。
武蔵野学院大学の福田直教授の調査によると、幼少期(幼稚園〜小学3年生)の自然体験(どろんこ遊び、虫とり、魚釣り、キャンプ、山登り、川遊び、海水浴、ハイキング、林遊び、雪遊び、砂遊びなど)が「かなりある」「ある」という人は、高校生になって「積極性」「責任感」「自然への関心」「協調性」が高いことが分かったという。
一方、環境問題を世界で初めて指摘したアメリカのレイチェル・カーソンは、晩年の著書『センス・オブ・ワンダー』で、子供にとって自然の中で「センス・オブ・ワンダー(sense of wonder)=驚いたり、不思議に思ったりする感性」を育むことの重要性を指摘したうえで、「生まれつき備わっている子供の『センス・オブ・ワンダー』を、いつも新鮮に保ち続けるためには、私たちが住んでいる世界の喜び、感激、神秘などを、子供と一緒に再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、少なくとも一人、そばにいる必要があります」と述べている。
子供に自然体験をさせるときは、大人があれこれ教えるのではなく、子供が自然のものを自由に見て、聞いて、感じることが大切なのだろう。大人に見守られながら自然体験を積むことで、子供の感性が育まれ、「積極性」「責任感」「協調性」なども身に付いてくるようだ。
今年、開設50周年を迎えた天理教青少年野外活動センター「さんさいの里」では、8月24日まで「夏休み さんさいの里デイキャンプ」が実施され、多くの利用者があった。夏の終わりが近づき、キャンプシーズンも終盤だが、実は「さんさいの里」は10月まで家族単位や小口の団体で利用できる。
まだ遅くない。「可愛い子供には旅をさせよ」ではないが、子供たちの感性を育む自然体験をさせてやりたいと、コロナ禍のいまだからこそ余計に強く思う。
(永尾)