企画特集 「こども食堂」の取り組み
社会との接点求めて
昨年来、新型コロナウイルスの感染拡大によって諸行事や活動が中止や延期を余儀なくされている。こうした現状のなか、社会との接点を求めて、さまざまに試行錯誤を重ねる教会やようぼくは少なくない。ここでは、地域住民への働きかけの一助として、「こども食堂」の取り組みをスタートさせた教会・個人を紹介する。
「食でつなぐ笑顔」モットーに – 鳥取・東正道分教会
鳥取県日吉津村の東正道分教会(福寄広之会長)は、今年5月に「こども食堂レモン」と銘打つ活動をスタートさせた。「食でつなぐ笑顔」をモットーに、毎食30食を上限として手作り弁当を提供している。
福寄会長(36歳)と妻・つかささん(31歳)は、5年前の結婚を機に、地域の人々に教会の存在を認知してもらえるよう、さまざまな活動を模索してきた。
今年2月、コロナ下ならではの子育て支援活動として、オンラインセミナー「子育て応援オンライン1Day CAMP」を実施した。その際、講師を依頼した福本大介さん(兵南分教会長・兵庫県西宮市)が教会でこども食堂を開いていることを知り、自教会でも取り組みたいと考えた。
「こども食堂レモン」では現状を踏まえ、事前予約制を導入。また「少しでも多くの人の“受け皿”になりたい」との思いから「無料配布」「宅配とテイクアウト」「アレルギーへの対応」の三つを活動の柱としている。
調理を担当するのは、つかささん。福寄会長は宅配の要望があったお宅へ弁当を届けている。これまで提供した食数は計99食。最近では、近くの農家から野菜の提供を受けたり、地元広報誌に活動が取り上げられたりしている。
つかささんは「利用者から『子供とゆっくり過ごす時間がつくれて、ありがたい』などの喜びの声が届いている。同時に、核家族や共働きで孤食に悩む家庭が近くにあることを実感した。これからも細く長く活動を続け、おたすけにつなげていきたい」と話した。
心温まる場所をつくりたい – 岐阜の玉置俊さん
玉置俊さん(28歳・美加分教会長後継者・岐阜県美濃加茂市)は現在、市内の交流センターで「こども食堂太陽」を月1回開いている。
オープンは今年5月。その名前には「太陽のように明るく温かい場所をつくりたい」との思いを込めたという。
3年前、大教会での青年づとめを終えて自教会へ戻った玉置さん。その後は岐阜教務支庁で御用をつとめる傍ら、子育てに悩む親への支援に携わってきた。
こうしたなか、「地域に心温まる場所をつくりたい」と一念発起。こども食堂の実施に向けて、ノウハウを持つ教友のサポートを受けながら、チラシ配布やSNSの活用を通じて、地域住民への広報に力を入れてきた。
メニューは基本的に、手作りのカレー弁当のみ。開催時には、検温や手指消毒を徹底し、時間帯を分けて弁当を配布するなど、感染対策を十分に講じている。併せて、地域の子供たちを楽しませようと、射的などの手作りゲームコーナーも設けている。
5月以降、回を重ねるごとに利用者が増加。最近では、取り組みを知った地域の教友や消防団の中からスタッフに加わった人もいるという。
玉置さんは「毎回、多くの人に利用していただき、大変うれしく思う。こども食堂を通じて地域の人がつながり合い、たすけあいの輪が広がっていくよう、これからも地道に活動を続けていきたい」と話している。