おやさとスケッチ – 感動を絵筆に 修養の日々 こころの覚え描き
西薗和泉 画家
にしぞの・いずみ
1960年、天理市生まれ。84年、京都市立芸術大学油画科卒業。2021年まで天理中学校美術教諭を務めた。著書に『木かげと陽だまり――水彩 こころの覚え描き』(道友社刊)がある。勢白分教会ようぼく。
天理中学校の美術教師として35年間勤め、この3月、定年退職した。最後の教員生活で、人生初の入院・手術を経験した。このとき修養科を志願する心定めをした。今後の人生の指針となると思ったからだ。
けれど、5月からの修養科で過ごすうちに、これまでの教員生活を無事に勤め上げられたことを、神様にお礼申し上げたいという気持ちへと変わった。
これまで教師をしながら水彩画を描いてきた。修養生活でも空き時間を利用して、昔懐かしい木造の西教室周辺のスケッチを始めた。道中の花々や、差し入れで頂いたものなどを絵手紙に描いて人に送ることもした。
『人間いきいき通信』(天理時報特別号)の表紙絵を手がけて、今年で21年目になる。ある修養科生は、クラスメートから「主人が、先生の絵でたすけられていると伝えてほしい」と言われたそうだ。
在職中、3年生のクラスを担当したときに、生徒の似顔絵を描いて卒業式の日に手渡すことを続けてきた。一クラス40人ほどの生徒を一人ひとり前にして、限られた時間内に描き上げるのは、大げさに聞こえるかもしれないが“荒行”だった。いま思えば、誰一人欠けることなく仕上げられたのは、自分の力だけではなかっただろう。
今回も、親神様のお引き寄せで、修養科に入らなければ出会えなかった人たちを描かせてもらった。モデルになってくれた髪形をばっちり決めているイケメンたちと、髪の毛の行方を気にしている初老の元イケメンたち……。ハッピ姿の絵を見て、共に過ごした3カ月のことを懐かしく思い出してもらえたらうれしい。
授業で担任の先生から、引き出し一切の守護をする「をふとのべのみこと」が、人間の徳分を引き出してくださると教えていただいた。絵を描く徳分を与えていただいたのも、ご守護であることを知り、衝撃を受けた。
感動を絵筆に込めて、その喜びを人に伝え、喜んでいただく……。日々生かされていることへの感謝の気持ちを込めて絵を描くことは、私にできるひのきしんであり、にをいがけ・おたすけにもつながるのだと、修養科に来て、その思いを強くした。
割り箸に墨をつけて下描きし、水彩絵の具で着色。LINEの時代に、あえて手描きの絵手紙を送り続けている
「西薗和泉水彩画展―日々感動・描いて・感謝して」
・11月21日~令和4年1月16日(9時~16時)
・おやさとやかた南右第2棟1階ホール
※期間中休みあり。詳細はこちら