“初心者棋士”県大会制す – 天理高囲碁将棋部
天理高校3年生の根来和貴さん(18歳)と、1年生の大谷真奈江さん(16歳)の二人は、11月に行われた第41回「近畿高等学校総合文化祭滋賀県大会」の囲碁部門と将棋部門にそれぞれ出場。根来さんは県選抜として囲碁部門の団体戦に、大谷さんは将棋部門の個人戦に出場し、善戦した。また大谷さんは、同月に開かれた県の新人大会で優勝し、全国大会への出場権を獲得する壮挙をなした。ここでは、天理高囲碁将棋部の“初心者棋士”たちの活躍を紹介する。
先ごろ、将棋界最高峰のタイトル「竜王」を獲得し、史上最年少で〝四冠〟を達成した藤井聡太氏。その躍進ぶりに影響されてか、近年“将棋ブーム”が起こっている。その人気は若い世代にも及んでおり、将棋を題材にした漫画が話題を呼んでいるほか、将棋教室に通う子供が増えているという。
天理高囲碁将棋部には現在、8人の部員が在籍。うち7人が今年入部した1年生で、大半は未経験者だ。
同部では、部員の希望に応じて、囲碁と将棋のいずれかをメーンにして取り組んでいる。
顧問の諸井克己教諭は「大会出場を目的とするのではなく、伸び伸びと楽しく取り組むことを部のモットーにしている」と語る。
昨年はコロナ禍の影響で多くの大会が中止に。「部員は、自分を含めて3人となり、部の存続も危ぶまれたが、今年は予想以上に多くの入部希望者があって驚いた」と話すのは、前キャプテンの根来さん。中学時代から仲の良かった先輩に勧められて入部。未経験だったが、諸井教諭の勧めで囲碁を始めた。その後、部活動での対局や大会出場を重ねる中で、次第に囲碁の楽しさを見いだしていったという。「囲碁では、たった一手で形勢が一気にひっくり返ることがある。一発逆転の可能性に面白さを感じた」と話す。
動画で研究を重ね
放課後、同部の部室はにわかに活気づく。小気味よい駒や石の音が、そこかしこに響く。
和気あいあいとした雰囲気のなか、ひときわ明るい表情で駒を動かしているのは、唯一の女性部員である大谷さんだ。
小学生のころ、祖父と将棋で遊んだ経験があるだけで、当初は全くの初心者だった。同部に入って以来、Youtube上の将棋テクニックを解説する動画を繰り返し見て、基本的な戦法を研究したという。
現代ならではの棋譜の研究を続ける中で、身に付けた戦い方が「居飛車」。飛車を定位置に据えて戦う、最もオーソドックスな戦法の一つだ。努力の甲斐あり、今月7日に行われた新人大会奈良県予選では、見事に優勝を飾り、来年1月に行われる全国大会への進出を決めた。
大谷さんは「得意とする戦法が通用したのはうれしかった。普段は同世代で将棋を指す相手が限られているけれど、県大会で女子部員が多い学校があることを知った。もっといろいろな人と対局を重ねて、さらに腕を磨きたい」と抱負を語った。