天理時報2024年2月28日号6面
【伝統受け継ぎさらなる高みへ – 天理大学・天理高校野球部 新指揮官に聞く】球春到来――。プロ野球のキャンプが始まり、新シーズンへ向けた準備が進むなか、このほど、天理高校硬式野球部と天理大学野球部に新しい監督が就任。天理高校野球部を率いるのは、天理大学野球部で指揮を執っていた藤原忠理氏(58歳・鈴張分教会役員)。天理大学野球部監督は、同部助監督だった三幣寛志氏(44歳・網走大教会網三講講元)。新指揮官の両氏に意気込みを聞いた。チームのために」心を込めてプレー天理高校野球部 藤原忠理監督――大学野球に長年、携わってこられました。高校野球は初めてということですが、両者の違いはどこにあるとお考えですか。大学生は大人だと思って接してきましたが、高校生はまだまだ成長期。心身の両面から成長をサポートすることが大切です。その一環として、私が何か説明したときには、いつも「どう感じたか」「どう考えたか」などと選手に問いかけ、積極的にコミュニケーションを図るようにしています。――チームづくりの展望は。諸先輩方が築き上げてきた“天理”の伝統を大切にしつつ、大学野球の指導者として30年間培ってきた経験をプラスして、形にしていきたいと考えています。就任後、「チームのために」を新たなスローガンに掲げました。試合では、一人ひとりがチームのためにどう行動できるかが勝敗の鍵を握ります。長年の経験から言って、個人の技量で勝てる試合は少ない。そこで必要になるのが、チームが一つになり、自らを犠牲にしてでも点を取ろうとする姿です。そうしたものを養うには、普段からチームのことを考えて動く姿勢が欠かせません。犠打に限らず、チームのためを思う心を込めたプレーこそ「天理野球」だと思っています。――現在のチーム状態は。まだつかみきれていないところもありますが、ポテンシャルの高い選手はたくさんいます。一方で、勝つために必要な技量は、まだまだ十分ではないとも感じています。そんな中でも、1年生の春から出場している松本大和キャプテン(2年)は、安定したスイングで四番を任せられる選手です。そして、同じく長打力のある大谷汰一副キャプテン(同)も中心選手の一人。彼らはプレーにもゆとりがあって、安心して見ることができます。――大学での指導スタイルを、高校でも取り入れていきますか。近年は天理高校から天理大学へ進む選手が増えていることから、今後は天理大学との交流の機会を増やしていきたいと考えています。自分たちよりも一つ上のレベルにふれることで、この先、野球選手として成長するために必要なものを知ることができるからです。大学の監督を務めていたときも、たびたび社会人チームと戦って経験を積みましたし、最近ではプロ野球の2軍チームと対戦する機会もありました。今後は天理大学野球部をはじめ、大学のチームと練習試合を組んで、レベルアップを図っていきます。――4月には春季県大会が始まります。まずは私が、高校野球の采配に早くなじまなければなりませんが、甲子園で活躍するためにも、春の県大会から夏に向けての一戦一戦を大切にしていきたいですね。その中で、観客の皆さんに「天理の選手は、すごく動けているね」などと、試合を楽しんでもらいたい。もちろん勝ち負けは大切ですが、全国の野球ファンに天理らしい元気なプレーをお届けできたらと考えています。【ふじわら・ただまさ】現役時代のポジションは捕手。天理高校で夏の甲子園、奈良産業大学で大学選手権出場。社会人野球でプレーしたのち、奈良産業大学で監督を務めた。2014年、天理大学野球部監督に就任し、阪神大学リーグ6連覇へ導く。教え子からプロ野球選手が輩出している。守り勝つ野球で日本一めざす天理大学野球部 三幣寛志監督――どんなチームに育てていきたいとお考えですか。2012年にコーチに就いてから、練習はもちろん、野球部寮の寮長を兼任しながら学生の私生活の指導にも携わってきました。チームはいま、「日本一を目指す」を大テーマに、「チームに協力できる人間」「他人の痛みを知る人間」「進んで取り組める人間」の三つを小テーマに掲げています。技術的に足りない部分はありますが、まずは「誠真実の心を持って、他人を思いやれる人」になれるよう、人間的な面での成長を促すとともに、引き続き、前監督のもとで養ってきた「守る野球」を鍛え上げていきたいと思います。――藤原前監督から教わったことの中で印象に残っていることは。前監督が赴任された当初、「自ら考え、自ら行動する」をテーマに掲げられました。大学生は割と時間があるので、当時は暇があれば寮で寝ている子も少なくなかったんです。言われる前に自ら考えて動くことの大切さを浸透させるなか、チームの雰囲気も大きく変わっていきました。また、「グラウンドに来て、練習の数を積むことが大切」と常々仰っていました。こうした意識を現チームにもしっかり植えつけていきたいと思います。――4月からリーグ戦が開幕します。今年のチームの特長は。昨年は4年生中心のチームでした。チームを支えていた3人の投手、1年生の秋からマスクを被ってきた捕手など、主力選手が多く抜けましたが、今年も「守り勝つ天理の野球」を体現できるメンバーはそろっていると感じています。現在のエースは、昨年の「関西地区大学野球選手権大会」決勝戦に先発した長野健大投手(3年)。また、OBの友杉篤輝選手(千葉ロッテマリーンズ所属)と比べても遜色ない脚力を持つ井脇将誠外野手(同)にも、大きな期待を寄せています。――阪神大学リーグ7連覇に向けて、意気込みをお聞かせください。日本一を目指すからには、リーグ優勝はあくまで通過点ですが、勝ち星を取りこぼすことのないよう、チーム一丸となって練習に励んでいます。教祖140年祭へ向かう旬に、全教の皆さんに喜んでもらえる報告ができるよう、全力で挑みたいと思います。【みぬさ・ひろし】現役時代のポジションは外野手。天理高校で春の甲子園優勝を経験し、天理大学へ。県内中学校の野球部監督などを経て、2012年から天理大学野球部のコーチ、助監督を務めた。, 【兄弟姉妹の交歓を – 成人へのビジョン22】家に帰ると、私の留守中にあった、たくさんの出来事を子どもたちが聞かせてくれます。「お父さん見てー」。そう言って描いた絵や作った作品を持ってくることもたびたびです。彼/彼女は、自分が創りだしたもの、経験したことや感じたことを、親である私に伝えようと一生懸命です。「大事な人と共有したい」。それは人間にとって根本的な欲求の一つのようです。私はそれらに耳を傾け、うなずき、目を通し、手で触れ、表情や言葉で応答します。「確かに受け取ったよ」。それは私たち親子にとって、何げない、些細な、忙しいとついなおざりになる、ありふれた幸福の姿です。心理学者のアルフレッド・アドラーは、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と考えました。私は同時に「人間の幸福もまた、そこにある」と感じます。きっと誰もが大小さまざまな幸せや悲しみを、人間関係から得ているのでしょう。さて、A、B、Cそれぞれは、神様のご守護のもとに存在します。ならば、豊かさとは何でしょう?さらにDとEを加えることでしょうか。私が思うのは、そうではなく、関係性の豊かさです。たとえば「夫婦仲良く」と言えば、夫を思う妻、妻を思う夫の両者の関係性を指します。どちらか一方だけではダメで、双方向のものです。対して「親孝行」は一方通行です。イメージするのは、子が親を思う姿。これを双方向にすると「親子団欒」。仲睦まじい親と子の姿が思い浮かびます。イラスト・かにたづこ「神人和楽」も親と子の団欒です。そこにあるのは、A、B、Cの単体では決して生み出し得ない、交歓の喜びです。A─B─Cの間に見えない線がつながること。その線が太くなること。幾重にも重なり交わる、一れつ兄弟姉妹たち。没交渉では、ただ個々があるだけ。それを超える豊かで多様な関係性。恐れ多いことですが、もし私が神様なら、きっと自分が用意したもの以上の姿が見たい。自分の創造(想像)を超えるものを。「人間の陽気ぐらしが見たい」という親神様の思召には「幸せを感じる存在(私)と、存在者相互(私と他者)の交歓とが、神様への最高の贈り物である」という含意があるのでは、と私は思います。そのとき私は、きっと「見て見てー」と神様に言うでしょう。可児義孝