天理時報2023年3月22日号6面
【過去に感謝し未来をつくる – 日本史コンシェルジュ】宝暦13(1763)年5月25日、伊勢松坂の新上屋という宿屋で、賀茂真淵と本居宣長は運命的な出逢いを果たしました。これは、二人の人生において大きな出来事であっただけでなく、国学の正統な系譜が継承されたという点において、歴史上きわめて重要な意味を持ちます。前回、私はこの「松坂の一夜」と呼ばれる二人の出逢いの物語をご紹介しましたが、真淵と宣長が共に、それぞれの弟子に伝えていた言葉があります。その言葉とは「師の説になづまざること」。意訳すると、こうなります。「自分が心から尊敬する師匠が唱えたからといって、その説に無条件に従ってはならない。たとえ師の説であったとしても、自分が研究しておかしいと思ったら、きちんと訂正しなさい」この言葉の裏には、二人の熱い思いが込められています。真淵も宣長も、おそらく後から生まれてくる者の可能性を信じていたのです。弟子が自分を超えていくことを。そして、その優れた弟子もまた、後世の人間に超えられていくことを。本居宣長にとって賀茂真淵は、どれだけ感謝しても足りないほどの恩人でしたが、同時に、過去の人でもあるのです。「過去の人」とするのが自分の務めだし、やがて自分も「過去の人」となっていかなければならない。その覚悟を自分に課し、「だから、おまえたちも頑張るんだぞ!」という心からのエールを、弟子たちに送ったのですね。私は時々考えます。人間の幸せって、何が決めるんだろう、と。いま何不自由ない暮らしを送っていても、幸せを感じない人がいる一方で、客観的には大変な状況でも、笑顔で幸せそうに日々を送っている人もいます。現在の状況が決め手でないとすれば、何が人の幸せを決めるのでしょう? きっと、それは「未来に希望を持てるか否か」で決まるのではないでしょうか。つまり現状のいかんにかかわらず、未来に希望を持てない人は不幸であり、未来に希望を見いだせる人は幸せなのです。では、どうしたら未来に希望を持てるのでしょうか? 未来への希望は、過去への感謝から生まれます。過去に感謝し、未来に希望の光を見いだした賀茂真淵と本居宣長。この二人の出逢いの物語を知ると、私たちも未来を信じたくなりますね。, 【どんな困難な状況でも – 読者のひろば】福谷則之(26歳・名古屋市)教会長である父に幼いころから憧れ、3年前「布教の家」の門を叩いた。しかし、入寮3日目に「緊急事態宣言」が発出され、活動自粛を余儀なくされた。布教の足踏み状態が続き、一時は寮辞退も考えたが、多くの先生方から助言を頂き、「いまは伏せ込む時期だ」と考え直した。以来、行動制限が緩和されるまでの間、十二下りのてをどりを毎日勤め、寮周辺の草抜きひのきしんなどに取り組んだ。2カ月が経ち、ようやくにをいがけに歩けるようになった。そんなある日、「将来、世界中の困っている人を助けたい」と情熱を燃やす未信仰のAさんと出会った。早速、「世界たすけを目指している天理教の布教師です」と伝えたところ、Aさんは開口一番「私も世界たすけをしたいです」と言って、喜んで別席を運んでくれた。不思議な巡り合わせに、どんな困難な状況でもたんのうの心で通れば、親神様が必ず結構にお連れ通りくださると心から実感した。現在、Aさんの支援を受けながら、昨年10月に結婚した妻と共に、戸別訪問やチラシ配りに歩く日々を送っている。これからも、たんのうの心を忘れず、にをいがけ・おたすけに一層努めていきたい。, 【にをいがけの一歩踏み出し – 読者のひろば】福田芳男(68歳・熊本県荒尾市)1年半前から通っている地域の体操教室に、30代くらいの女性スタッフがいる。先日、その女性から体操の指導を受ける合間に、思いがけず自らの信仰について話す機会があった。女性は天理教の教えを全く知らなかったが、興味を示してくれた。これまで天理教の教えを未信仰の人に説明した経験がほとんどなかったため、不安を感じながらも、できるだけ丁寧に、一生懸命伝えた。すると女性は「良い教えですね」と、深く得心した様子で感想を述べてくれた。その後も体操教室で女性と顔を合わせたときに、お道の話をするようになった。実は、にをいがけに苦手意識があった。相手に拒まれることを恐れ、なかなか一歩を踏み出せずにいた。それが今では、女性に教えを伝えられるようになった自分に驚いている。小さなきっかけから始まった、ささやかなにをいがけだが、親神様が与えてくださった機会に感謝している。引き続きその女性とのつながりを大事にしながら、これからも肩肘を張らず、にをいがけを続けて、さらなる成人へと歩みを進めたい。, 【ご当地グルメ本部駐車場に勢ぞろい – 第12回「奈良食祭」】「奈良食祭」に道友社も出店奈良のご当地グルメを楽しむイベント第12回「奈良食祭」(主催=NPO法人奈良元気もんプロジェクト)が3月11、12の両日、本部南5駐車場で開催され、大勢の来場者でにぎわった。この催しは、多くの人々に奈良のおいしい食べ物の魅力を感じてもらい、地域の活性化を促そうと11年前に始まった。今回初めて天理市で催されることになり、南5駐車場を会場に提供した。当日は、奈良のご当地グルメ70店が出店。ステージパフォーマンスやモノづくりワークショップなどのお楽しみコーナーも設けられた。また、天理市から「地元・天理をピーアールしてほしい」と協力要請を受けた道友社もブースを出店。平成25年の発売以来、教内はもとより一般販売でも好評を得ている「天理カレー」を販売したほか、先ごろ新バージョンを作成した「おやさと桜MAP」も無料配布し、天理の新たな観光名所として注目を集める“親里のサクラ”をアピールした。