天理時報2023年3月8日号6面
【グッドバイ – よろずの美の葉】突然で驚かれると思うが、『よろずの美の葉』は今回が最終回となる。2017年春に連載を開始し、丸6年。私は小説家歴12年なので、キャリアの半分をご一緒したわけだ。これほど長く連載を担当したお仕事は、他にない。それだけにいざ最後となると、親しい方々と別れるに似た寂しさと、深い感謝の念がこみ上げる。なにせこの随筆をご依頼いただいた当時、私は作家デビュー5年目。初めて直木賞の候補になったが、あえなく落選した直後だった。一昨年夏、候補5回目にして直木賞を賜り、私は多くのお仕事をいただいた。その多忙の中でつくづく思ったのは、こんな華やかな日々以前からご一緒してくださった仕事先のかけがえなさだ。あれは5年余り前、2回目の直木賞落選が決まった夜。東京の私のもとには、編集者さんが幾人も駆け付けてくれた。何も落選者のところに来ずとも、受賞者のもとに出かけた方が賑やかな酒が飲めたはず。だがその夜、数社の出版社の方々は、私を慰めようと深夜までご一緒くださり、そのひと月前に亡くなられた歴史小説家・葉室麟さんの思い出や今後の歴史時代小説界の在り方を巡る話に花を咲かせた。そんな編集者さんたちを前に、「この方々とずっとお仕事をしよう」と私は誓った。1960年代にサッカー日本代表をコーチしたデットマール・クラマー氏は、準々決勝で敗退した選手たちに、「今日、訪ねてくる人は少ないかもしれないが、負けた時に訪ねてくるのが本当の友達だ」と語ったという。ならば私はあの日、生涯、共に仕事をするべき方々を知ることが叶った。それは落選したからこそ体験し得た、非常に幸せな一夜だったのだ。同様にまだ駆け出しだった私にお仕事をご依頼くださった『天理時報』を、私はかねて「本当の友達」と考えている。ただ物事には新陳代謝が必要で、同じ書き手ばかりが執筆することは読者や紙面のためにならぬはず。そう決意し、今回を最終回とさせていただいた。とはいえこのお仕事が私の宝物であることは、今後も変わりはしない。「グッドバイ、また会わん」とは私が通った同志社大学の校祖・新島襄が最期に妻に告げた言葉。新島はクリスチャンだったので、再会とはキリスト教の復活の日を指すのだろう。だが中国語の「再見」が長い別れの挨拶であると同時に「再び見る」、つまり再会を誓う語である如く、別れとは新しく出会うための第一歩でもある。というわけで皆さま、グッドバイ、お元気で。また逢う日まで。, 【食品ロスを考える – まんまる】四コマ漫画のもとになった「食べ物を通して感じること」(ラジオ天理教の時間)は、以下から聴けます。https://www.tenrikyo.or.jp/yoboku/radio/r1216/, 【“本腰”入れておたすけを – 読者のひろば】森口博行(69歳・大阪市)昨年の暮れごろ、腰の痛みに悩まされ、受診したところ、「腰椎変性すべり症」と診断された。その後、仕事を休職して療養生活を送ることになったが、症状は次第に悪化。心も沈みがちになっていった。そんななか、ある教友が、教祖のお言葉を添えた励ましのメッセージをLINEで毎日送ってくれた。教友から送られてくる教祖のお言葉の数々は、いずれも私の落ち込んだ心を支えてくれるような温かいものばかりだった。なかでも、「用に使わねばならんという道具は、痛めてでも引き寄せる」(『稿本天理教教祖伝逸話篇』36「定めた心」)という一文が強く胸を打った。「親神様は、きっと今の私に任せたい御用があるから、身上を見せてくださったのだ」。そう思うと、つらいと感じていた身上を前向きに捉えることができた。そして「このおてびきは、教祖140年祭へ向かう成人の旬に、”本腰”を入れておたすけに邁進しなさいという、親神様からのメッセージなのでは」と思えて、勇み心が湧いてきた。いまも腰の痛みがなくなったわけではない。それでも、身上・事情に苦しんでいる人に一人でも多くたすかってもらえるよう、これからこの体でできる限りのおたすけをしていきたい。, 【公開講演会300回の節目 – トーク・サンコーカン】天理参考館(橋本道人館長)の公開講演会「トーク・サンコーカン」が、2月23日の「古代アンデスの土器づくり」をもって300回の節目を迎えた。「トーク・サンコーカン」は、同館創設者である中山正善・二代真柱様の20年祭が勤められた昭和62年、同館創設の趣旨を徹底するために発足した「友の会」によって企画された。同年9月、「自由にトーク(対話)しながら異文化を『見て、触れて、感じる』」をコンセプトに同講演会がスタートし、月1回(8月と12月を除く)のペースで実施。世界有数の民俗・考古コレクションを誇る参考館の収蔵品を主要テーマに、同館の学芸員が時代背景や文化的価値を分かりやすく解説してきた。節目となる300回の「トーク・サンコーカン」では、「古代アンデスの土器づくり」と題して、講師の荒田恵・学芸員が講演。ペルー北海岸に焦点を当て、成形技法や窯の構造の変遷をたどりながら、”古代の土器づくり”が、どのように発展したのかを詳しく解説した。また講演後には、参加者を対象に300回の節目を記念する「ミニ抽選会」が行われた。