天理時報2024年8月14日号6面
【「布教」ってなんだろう – 成人へのビジョン27】9月は「全教会布教推進月間」です。字義通りに解せば「布教」を「推進」するわけですから、「布教活動の実践」がその眼目といえます。一方、布教という言葉の意味を考えるならば、「いまだこの道の教えを知らない人に、真実のをやの教えを伝え広めること」がその目的であり、「実践」の多寡以上に、活動を通じて「教えを人々の胸に届けられたか」が重要となってきます。行動と成果のどちらに重きを置くべきか、その答えは分かりませんが、一方に偏重し他方を軽んじることは避けたいと思います。ひたむきな布教実践も、なんとか伝えようとする真摯な葛藤も、その人の誠の表れではないでしょうか。成果を別にすれば、布教は心一つで誰にでもできます。相手の反応はどうであれ、やったらやっただけは実践です。そういう意味では、布教(行動)は一人でもできるということでしょう。イラスト・かにたづこその分、行為が独りよがりになる可能性もあります。そこで、「どうやったら相手に伝わるだろうか」と、相手の身になって考える(にをいが掛かるという状態を意識する)ことで、自己本位な取り組み方を脱し、他者と結びつく可能性や、いかにして神様にお働きいただくかという視点が開けてくると思うのです。「布教の家」時代の仲間との会話です。1カ月目は「どうやって、おさづけの取り次ぎまでもっていったの?」「こう話したら聞いてもらえた」という方法論。数カ月経つと、「断られてもいいから一軒一軒心を込めて回ろう」「何を話すかではなく、相手と真摯に向き合おう」という、人と向き合う姿勢。卒寮のころには、「自分の心を磨いてもらった」「相手ではなく、すべては私なんだ」「布教中だけでなく、何げない日々の通り方、一瞬一瞬の心づかいが大事」と、「布教」の持つ一般的な意味合いを遥かに超えて、歩く者自身の変容へと意識が次第にシフトしていきます。私は、そのこと自体にご守護を感じます。「自由という理は何処にあるとは思うなよ。たゞめん/\精神一つの理にある」おかきさげにをいがけ・おたすけを通して、そのことに本当に気づけたならば、そのとき私たちは、真実の道の確かな途上にいるはずです。, 【能登半島地震の被災地から夏のおぢばへ – 同行ルポ 珠洲ひのきしんセンター隊】「珠洲ひのきしんセンター隊」として47人が帰参。晴天のおぢばに、子供たちの笑顔の花が咲いた(7月30日、おやさとやかた真東棟前で)救援活動で地域の信頼得て立教187年「こどもおぢばがえり」には、「令和6年能登半島地震」の被災地からも大勢の子供たちが参加した。石川県珠洲市の北乃洲分教会(矢田勝治会長)と寶立分教会(石橋雄一郎会長)は、地震発生直後に「珠洲ひのきしんセンター」を独自に立ち上げ、各地の教友有志などの協力を得ながら、現在も救援活動を続けている。同センターは7月29日から31日にかけて、「珠洲ひのきしんセンター隊」として団参を実施、47人が帰参した。本紙記者は現地へ赴き、2泊3日の旅に同行した。29日午前6時半、北乃洲分教会の前に、大きな旅行かばんを手にした子供たちが続々と集まってきた。「おはよう!」。育成スタッフが明るくあいさつし、子供たちに名札を手渡していく。「小学生のときに参加して、とても楽しかった思い出がある」そう話すのは、初めて子供を参加させた畠田里美さん(39歳)。畠田さんの呼びかけで、子供が通う地元のバスケットボールチームのほとんどのメンバーも参加することになったという。畠田さんは「私自身も参加したことがあるので、安心して子供を預けられる。ほかの子供とも仲良くなって、思いきり楽しんでほしい」と笑顔を見せる。「行ってきまーす!」7時、参加者は教会の神殿で参拝したのち、観光バスに乗車。これから約9時間かけて、一路おぢばへ向かう。「節から芽が出る」ご守護の姿1月1日の地震発生から1週間後の8日、比較的被害の小さかった両教会は「珠洲ひのきしんセンター」の運営をスタート。北乃洲分教会の部内教会である手取川分教会長の矢田嘉伸さん(51歳)が代表、寶立分教会長の石橋さん(58歳)が事務局長に就き、教内外を問わず数多くの団体を受け入れながら救援活動に力を尽くしてきた。「いまでは“ひのきしんさん”という呼び名が浸透し、珠洲に天理教のことを知らない人はいない」と矢田さんは話す。5月、同センタースタッフから「不安などのストレスを抱える子供たちが、夏のおぢばで楽しい思い出をつくることができたら」との声が上がり、センターとしての団参を決定。被災地支援の陣頭指揮を執る矢田さんと石橋さんに代わって、矢田こずゑさん(51歳・手取川分教会長夫人)とセンタースタッフの一人、川東敬子さん(52歳・北乃洲分教会教人)らが団参の計画や参加呼びかけを行ってきた。◇「もう少しで天理だよ」バスの車内では、レクリエーションの後、座りづとめの手振りの練習、「三つの約束」についての説明があった。続いて、こどもおぢばがえりソング『ありがとう! 夏のおぢば』を合唱すると、“真夏の祭典”のムードが車内に漂う。午後4時すぎ、おぢばに到着した一行は本部神殿南礼拝場でおつとめを勤めた後、教祖殿で参拝した。「この約半年間、つらい思いや寂しい思いをたくさんしたと思う。皆、本当によく頑張った。いま教祖が、『よう帰ってきたなあ』と、一人ひとりの頭をなでてくださっていると思うよ」本部神殿での参拝に先立ち、矢田さんは子供にも分かるようお道の教えを説明していた(7月29日、南礼拝場で)矢田さんは存命の教祖について、丁寧に時間をかけて語りかける。子供たちは、矢田さんの言葉に真剣に耳を傾けていた。翌日、「朝のおつとめ」の後、一行は「廻廊ひのきしん」へ。「いち、に、さん、し!」天理高校生の“お兄さん”のかけ声に合わせ、汗をかきながら回廊の板目を拭いていく。引率者の一人、今井理恵さん(46歳)は、小学2年生の子供を連れて初めて参加した。川東さんが4年前に始めた、地域住民の会合の場「にこまる会」への参加をきっかけに、川東さんに悩み事を相談するようになった今井さん。団参を通じて子供の成長を感じているという。「いつも私の側を離れなかった子供が、すぐに周りの子と打ち解け、とても楽しんでいる。その様子を見て、連れてきて良かったと思った」と微笑む。「冷たくて気持ちいい!」「こども横丁」の一角で、夢中になって水鉄砲で水をかけ合う子供たち。次の行事会場へ移動する合間も笑顔が絶えない。スタッフの“お兄さん・お姉さん”に支えられながら、アスレチックを楽しむ(7月30日、天理大学杣之内第1体育館で)「『節から芽が出る』と教えられるご守護の姿を見せていただいたように感じる。これほど有り難いことはない……」。少し離れたところから様子を見守っていた川東さんの目から、熱いものがこぼれた。「センターの救援活動に大勢の教友の方々が協力してくださったからこそ、多くの子供たちとおぢばに帰ることができた。夏のおぢばで楽しい思い出をつくって、『また来たい』と思ってくれたらうれしい」とつぶやく。「三つの約束」を大切にして詰所での最後の夜、おぢばで過ごした2日間の思い出を振り返る子供たち。「新しい友達ができた」「ひのきしんの大切さが分かった」。夏のおぢばで感じたことを、うれしそうに口にしていた。矢田さんは「地震により、不自由な生活を味わった子供たちにとって、おぢば帰りをしたことで感じる喜びがたくさんあったと思う。これからも、おぢばで学んだ『三つの約束』を大切にして、人のことを思いやり、支え合い、恩を感じられる人になってくれたら」と話す。最終日の31日午前7時。南礼拝場で、石橋さんが子供たちに向けて語りかける。「おぢばに帰ったことや、お世話になった人たちのことを覚えていてほしい。家に戻ってからも、親神様が望んでおられることを大切に生活しよう」この後、3日間を締めくくるお礼のおつとめ。最初は不慣れだったおつとめも、皆で声をそろえて勤められるようになった。7時半すぎ、バスはおぢばを出発。車内から大きく手を振る子供たちの笑顔は生き生きとしている。夏のおぢばで教えにふれ、思いきり楽しんだ思い出は、被災地で生きていく心の支えになるに違いない。文=加見理一写真=嶋﨑 良同隊の団参の様子をご覧になれます。https://youtu.be/tXcBD9Gdw44