天理時報2022年4月6日号5面
誰もが当たり前に活躍できる社会へ制作現場では、手探りの状態から映画作りをスタート。知人のテレビ局のスタッフに助言を求めたり、連盟から意見を聞いたりして、4年の歳月をかけて撮影編集を進めた。こうして2009年に完成した映画『ゆずり葉』は、全国900カ所以上で上映され、40万人の観客を動員。大きな反響を呼んだ。前作から10年余りを経て、現在、3作目の映画『咲む』が同連盟創立70周年記念映画として全国で順次公開されている。3度目の出場メダルを目指すろう者のための国際スポーツ競技大会デフリンピックは、1924年の夏季パリ大会に始まり、今年5月、ブラジルで第24回夏季大会が開かれる。スタート時の合図を旗や光で知らせるなどの違いはあるものの、競技内容やルールはオリンピックと変わらない。早瀬さんは、2009年のデフリンピック「台北大会」に出場した教え子が活躍する姿を見て、「あの舞台に自分も立「ちたい」と思い、趣味の一つだった自転車競技に本格的に取り組み始めた。仕事の合間を縫って練習しながら、週末は、日本各地で行われる一般の大会に出場して経験を積んだ。たちまち自転車競技のデフアスリートとして頭角を現すと、13年に開かれたデフリンピック「ブルガリア・ソフィア大会」に日本代表として初選出。2回目の出場となった17年の「トルコ・サムスン大会」では、自転車競技スプリント男子の部で6位入賞を果たした。昨年8月、「アスリートの経験を持つ自分だからこそ、できることをしたい」との思いから、東京2020オリンピックにボランティアとして参加。さらに、同パラリンピックの期間中には、NHK総合「あさナビ」にコメンテーターとして出演。連日、障害者アスリートの視点からパラスポーツの魅力などを伝えた。番組内で手話をするときの豊かな表情や、さまざまな表現を交えながらパラスポーツへの思いを語る早瀬さんの姿を見た視聴者からは、「表現が素敵」「ファンになった」などの声が多数寄せられた。早瀬さんは、番組に出演したことについて「多くの視聴者にパラリンピックをスポーツとして純粋に楽しんでもらえるよう、アスリートとしての思いを伝えたかった」と話す。現在、自身3度目の出場となるデフリンピックでのメダル獲得を目標に、日々強化に取り組んでいる。「残念ながらデフリンピックの存在を知らない人が、まだとても多い。一人のアスリートとして、デフリンピックの存在を多くの人に伝えられるよう、いまは競技に集中している。障害のある人もない人も、誰もがあらゆる場面で当たり前のように活躍する社会を目指して、今後も私にできる活動に取り組んでいきたい」文=島村久生自転車競技を本格的に始めて100年余り。3度目の大舞台でメダル獲得を目指す