天理時報2022年1月19日号5面
続いて静岡県袋井市へ向かい、山名大教会の発祥の地にある遠本分教会を訪ねます。明治36年に現在地へ移転するまで、ここを拠点にして活発な布教活動が展開されていました。袋井宿は、いわゆる東海道五十三次のちょうど中間地点にある宿場です。明治20年代には、当時の教会と東海道をつなぐ引き込み道路があり、「天輪王道」と呼ばれました。東海道との分岐点には立派な道標が建立され、参拝する人々の目印になりました。こうした立地を考えると、ここから東西南北の遠隔地に布教線が拡大していったことがうなずけます。祖には、フラフだけではなく、こうした将来への展望も見えていたのでしょうか。ちなみに、この地の南方は海ですが、山名の道は早くから台湾にも伝わっています。この後、東海道線の開通後に袋井駅近くに移転した、現在の山名大教会で参拝しました。東海道に隣接した場所から鉄道の駅の近くに移転した経緯には、常に「ぢば」へ足を運ぶ信仰と、各地から教会へ参集する人々の便宜を図る親心を感じます。さらには、初代会長をはじめとする教会関係者の墓所へも案内していただきました。高台に林立する石塔には、この道に尽くしてきた先人・先輩方の誠真実が刻まれています。筆致から滲む信仰姿勢日程が合わなかったこともあって、初代会長が書き残した文書などは事前に拝見しました。山名大教会のルーツに関わる「こふき」の写本に感銘を受ける一方で、諸井国三郎が書き記したさまざまな覚書には、教祖の教えを真摯に求める信仰心と、一を学んで十を悟る聡明さを強く感じます。特に、その教理理解の奥深さには感嘆しました。諸井国三郎が書き記した「天輪王講社信心道書抜」(明治16年)の冒頭に「天りんおふ講社ハ、おがみ、きとう、をするのでは、ありません。しんじんの道を、おつたへ申ので、おはなしを、よくきかないと、御りやくいありません」とあるのは以前から知っていました。しかし、ご本人が「みかぐらうた」や教理の覚書を書き留めた文書を手に取ると、その筆跡や筆致から滲み出る、真理を探究する姿勢に圧倒されます。文字は決して、ただの記号ではないのです。帰路は、豊橋から陸路で伊良湖岬へ向かい、フェリーで伊勢湾を横切って鳥羽に着きました。明治期の伊勢参宮道中記には、船で伊勢湾や三河湾を渡る記録が散見されます。明治7年のおぢば帰りの際には、豊橋から乗船して三河湾と伊勢湾を横断したようです。少し天候を心配していましたが、途中から太陽が出て美しい海上の景色を堪能しました。伊勢に上陸した一行は、青山峠をえて現在の名張市や宇陀市を通る初瀬街道を経て、桜井から天理へ向かいました。この道は、この企画で何度も歩いた当時の主要な街道の一つです。一行が宿泊した丹波市を含む「伊勢道中記宿附」には、通過地点の宿場や宿屋が記載されています。今回は青山峠を歩く時間の余裕はありませんでしたが、コロナ禍を克服したころに、宿場を辿りながら歩いてみたい旧道の一つです。こうして現地に足を運んで往時の文献や遺物にふれると、教祖伝や逸話篇に伝わるエピソードが、まるで1本の映画や1冊の物語のように目前に広がるのを感じます。これからも「ひながたの風景」を辿る旅を続けたい。そう感じる一日でした。吉本八十次から預かったという教理文書(写真左)。国三郎が警察署に宛てて、教理を書きまとめたもの(写真中)と国三郎の覚書(写真右)コラム諸井国三郎の入信遠州に初めて道の種を蒔い吉本八十次国三郎の家業で雇っていた番頭が連れてきたことがきっかけで、諸井家に住み込んで働くようになった。八十次は近隣の人々をおたすけし「十全の守護」「かしもの・かりもの」「八つのほこり」の教えを説いて回った。こうしたなか、明治16(1883)年、国三郎の三女・甲子が、身上によって医者も諦める危篤状態に。国三郎夫婦は談じ合い、八十次から聞いた親神様を信心することを共に誓い、一心に娘のたすかりを願ったところ、その夜のうちに甲子は鮮やかにご守護いただいた。それから3日後、国三郎はお礼参りにおぢばへ向かい、教祖に初めてお目通りしたという。▲明治36年、山名分教会が移転するまであった場所。現在は遠本分教会となっている(袋井市広岡)東海道と山名分教会までの道の分岐点に建てられていた道標。「神道天理教会所七町」とある▲国三郎の墓碑吉本八十次の碑。八十次の事績が刻まれている国三郎宅に使用された瓦「おやさと書店」および「BOOKS道友」改装に伴う休業のお知らせ|道友社今年1月中に、一般書籍を取り扱う「BOOKS道友」を「おやさと書店」内に併置いたします。つきましては、左記の期間、移設・改装作業のためお休みさせていただきますので、ご了承ください。なお、1月20日午前9時から、装いも新たに「おやさと書店」として開店いたします。期間中、何かとご不便をおかけいたしますが、ご理解いただきますようお願いいたします。臨時休業期間「BOOKS道友」1月11日~13日「おやさと書店」1月17日~19日