天理時報2021年9月19日号8面
TenriSports[天理スポーツ]創部初の快挙全中団体戦準V天理中柔道部男子天理中学校柔道部男子は、8月22日から前橋市のALSOKぐんまアリーナで行われた「全国中学校柔道大会」に出場。団体・個人の4階級に出場し、団体戦、個人戦で準優勝に輝いた。全中大会での団体戦準優勝は創部初の快挙となった(写真)。一昨年の前回大会では、予選ブロックで敗退した同部。その後の練習では、走り込みなどで基礎体力を強化したほか、組み手で重要な「引く力」を鍛えるため、ロープ登りや懸垂の練習を重点的に取り入れた。一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響で他校との練習試合を組むことができなかった。例年に比べて試合経験が不足するなか、今大会を前に福田敬士監督(31歳)は「“天理柔道〟を信じて、畳の上で練習の成果を出しきろう」と伝え、選手たちを送り出した。天理中は予選ブロックを2戦全勝し、決勝トーナメントへ進出。トーナメント初戦と続く準々決勝では、大将の瀬川賢豪主将(3年)の技が光り、2-1の僅差で勝ち進んだ。準決勝は、先鋒の森俊士選手(同)の健闘で流れをつかみ、3-0で勝利。創部初の決勝進出を決めた。決勝の相手は、強豪・国士舘中学校。先鋒の森選手、副将の邊方寿希選手(同)が引き分けに持ち込んだものの、0-3で敗れ、準優勝となった。福田監督は「選手たちが試合の中で、どんどん成長していくのを肌身に感じた。ここまで努力してきた選手を称えたい」と話した。個人戦でも準優勝瀬川賢豪主将個人戦では、瀬川主将が90㌔ロ超級に出場し、準優勝した(写真)瀬川主将は、オリンピック柔道3連覇の偉業をなし遂げた野村忠宏さんが育った道場「豊徳館野村柔道場」(奈良県広陵町)で3歳から柔道を始めた。父・泰寛さんも柔道経験者で、天理中時代には全中大会で3位入賞。その後も天理高校と天理大学の柔道部に進んで鍛錬した。そんな父の中学時代の記録を「越えたい」と、気合を入れて大会に臨んだ瀬川主将は、2回戦から出場。初戦を得意技の「大外刈」で一本勝ちを収めると、その後も豊富な技を繰り出しながら、トーナメントを「一本」で勝ち上がっていく。迎えた決勝戦。瀬川主将が果敢に攻めるも技は決まらず、延長戦へ。延長1分、相手選手の「裏投」が決まり、惜しくも準優勝となった。瀬川主将は「悔しかったけれど、練習の成果をすべて出しきれたと思う。卒業後は、天理高校で柔道を続けたい。来年は、今年の団体戦と個人戦の記録を塗り替えられるように、後輩たちの頑張りに期待したい」と語った。文芸連載小説ふたり星の降る夜は作/片山恭一画/リン前話のあらすじトトの葬式後、カンは夜中に目を覚ますことが増えた。その姿を見たピノは、カンが自分いるのではないかと心配していた。第34話幸せになれる方法ハハはトトのものを片付けることができない。なにもかもが、そのままだった。着ていた服も使っていた食器も、トトが生きていたときのままそこにある。郵便物もまた、以前と同じように届きつづけた。ほとんどが封を切られずに、トトの写真を飾ったテーブルの上に置かれていた。積み重なっていく郵便物を見ていると、それが悪意をもった何者かの仕業のようにも思えてくる。海は毎日、不吉なほど青かった。穏やかな海に、島は何事もなかったかのように浮かんでいた。わわたしはこんなことを思った。ひととし一言主の神さまというのは、本当は恐ろしい神さまではないだろうか。機嫌が悪いときには、願い事を発した者の心を粉々にしてしまう、そんな暴虐な神さまではないだろうか。カンはじっと海の向こうに目を凝らしていた。見えるのかもししれない、とわたしは思った。ボードに腹腹這いになり、大大きな手で力強く水を掻ききながら海の彼方方をめざすトトの姿が。見えないはずがあるだろうか?ときには未来さえも見えてしまうあの子には。あるとき砂浜にツツが現れて、首から吊るした太鼓をいきなり叩きはじめた。くり抜いた木の片方に皮が張ってある奇妙な太鼓だった。それを怒ったように叩きつづけた。わたしは太鼓の皮が破れる前に、彼女の指が壊れるのではないかと思った。「きみがいま最低な気分だってことはわかってる」。息を切らして言った。「いいビートを叩けば、少しはましな気分になるかと思って」残念ながら、どんなに親身な言葉も、いいビートも、いまはあの子のなかを素通りしていく。ツツは黙ってその場を立ち去った。人間が持ち合わせている言葉では間に合わないと感じられるときがある。ひょっとして、あの子にはわかっていたのかもしれない。そんな日が自分に訪れることが。だから最初から言葉を喋らなかったのではないだろうか?馬鹿げた考えだとは思う。でもカンを見ていると、わたしはそんなことを想ってしまう。誰もが幸せになれる方法を探していた。どうやれば人は幸せになれるのか?笑うと幸せになれると言う人がいる。これほど容易く、また難しいことはないだろう。ツツなどは町中にポスターでも貼りたい気分だったかもしれない。〈幸せになれる方法をご存じの方は下記までご連絡ください〉心根のいい少女よ、だがそれは見つけるものではなく、向こうから見つけてもらうものではないだろうか。自分の力ではどうしようもないところがあるのだよ。文芸小説「ふたり」のバックナンバーはこちらから