天理時報2021年8月8日号5面
コロナ禍の中も挑み続けメリカへ渡り、スネアアドラム奏者として活動するには、毎年行われるマーチングチームの入団試験に合格しなければならない。また、ドラムパートに限って、受験資格が21歳までという年齢制限が設けられている。森さんは部活動を引退後、渡米を目標に、独自に練習を始めた。吹奏楽とマーチングでは、スネアドラムの奏法が異なる。動画サイトでプロの演奏を繰り返し見て、少しでも近づけるよう研究を重ねた。しかし、1年目の試験は不合格。〝世界の壁〟に跳ね返された。その後、なおも懸命に練習を重ね、挑戦2年目の2019年9月、晴れて入団試験に合格。米国行きの夢を叶えた。同年12月に渡米し、憧れの地でドラム練習に明け暮れる日々を送った。そんな矢先、新型コロナウイルスの感染が急拡大。4月に行われる予定だった大舞台「WGI」の大会が急遽、中止になった。「人生の中で数回しか挑戦できない大舞台へのチャンスを、コロナの影響で失った。あれほど悔しい思いをしたことはなかった」帰国後も続くコロナ禍のさなか、もう一度アメリカへ行くことは想像すらできなかったという。それでも、所属していたチームから声をかけられ、再び試験を受けてアメリカ行きの切符を手にした。アメリカで2年目のシーズンを迎えた森さん。例年のようなチームでの活動が難しいことから、「WGI」ソロスネア部門への出場を決めた。大会に向けて、自身初の作曲にも挑戦。心がけたのは、天理高で学んだ「人に喜んでもらえる演奏」を表現すること。普段、ドラムの演奏を聞く機会がない人にも楽しんでもらえる曲作りを目指した。さらに、曲全体を通じて、日本人ならではのリズムを感じてもらえるよう工夫を凝らした。自らのこれまでの歩みを投映したその曲に『CANVAS」と命名した。コロナ禍の中の大会は、録画審査で行われた。2月の予選では、世界から選ばれた8人のドラマーたちを相手に勝ち抜き、決勝進出。4月に行われた決勝では見事「最高評価」に輝いた。「自分の演奏が評価されたことはもちろんうれしいが、何より、これまでお世話になった人たちに喜んでもらえたことが特にうれしかった」と笑顔で話す。現在、自身の演奏活動の傍ら、地元の中学や高校でドラムを指導している。また、自身が所属していた鼓笛隊にも時折、練習を見に行くという。「天理で学んだ”人を喜ばせて自分も楽しむ”という信念を大切にしながら、これからもたくさんの人をドラムで楽しませて「いきたい」文=島村久生マーチングチーム「ブレイクスルーインドア・パーカッション」で演奏する森さん将来の夢は、自身でマーチングチームを作り、アメリカの舞台に立つことだというQRコードから、森さんが大会で披露した曲の演奏動画をご覧いただけます。