天理時報2021年7月25日号2面
おたすけのためのひのきしんスクール精神疾患の基礎知識を学ぶ「ひのきしんスクール」オンライン講座「ひのきしんスクール」(村田幸喜運営委員長)は、6月26日午後から27日にかけて、オンライン講座「地域でのくらしを支えるおたすけ―統合失調症、うつ病、躁うつ病」を開催、2人が受講した。精神疾患を有する患者数は、2017年には400万人に上るなど、近年大幅に増加している。同講座は、精神疾患の代表的な病である統合失調症やうつ病、躁うつ病の症状や当事者への接し方について学び、精神疾患の理解を深めようというもの。初日の講義では、精神科医の林竜也氏(林こころのクリニック院長)と、ひのきしんスクール運営委員の林久郎氏(洲北分教会長)が登壇。林竜也氏は「統合失調症」「うつ病」「躁うつ病」の特性や治療法について、林久郎氏は「地域包括ケアシステム」の仕組みについて、具体的なエピソードを交えながら説明した。2日目は、小瀬古伸幸氏(精神科認定看護師)が「家族や周囲の方の接し方お互いが楽になるための「方法」と題して、現場での実体験をもとに、家族や周囲の人たちが、精神疾患を抱える患者にアプローチするうえでのポイントについて詳しく解説した(下段に講演要旨別掲)。■小瀬古氏の講演要旨普段の何げない会話の積み重ねを大切に患者の心の仕組みをダムに例える「心のダム理論」がある。ダムの水はストレス、堤防はストレス耐性を示す。水が溢れてしまうと、精神疾患が再発するといわれる。その対策として、大きく三つの方法がある。症状を和らげ、堤防を高める役割を持つ「薬」、ダムの水を逃がす「ストレス発散」、そしてダムに水が入らないようにする「環境調整」だ。「環境調整」には、患者のメンタル面のケアのほか、家族や周囲の人たちが当事者に接するうえで工夫できる点がある。ゆっくりと話す、話題をシンプルにする、相手の話を遮ってアドバイスしない―――などだ。その中で、互いの心が楽になるために、特に心がけてほしいことがある。それは、家族が当事者に要望を伝える際に、「私」を主語にする「アイメッセージ」と呼ばれる方法を用いることだ。「○○してくれると私はうれしい」などと、相手への命令ではなく、自分の気持ちを表現することで、相手も要望を受け入れやすくなる。一方で「あなたは○○しなさい」といった、相手を主語にする「ユーメッセージ」は、相手の反発を招く恐れがある。このほか、当事者が暴言暴力に及んだり、医療機関への受診や入院を拒んだりした際にも、「アイメッセージ」を用いることで、状況が改善することもある。当事者の精神状態や双方の関係性がすぐに良くなるような〝魔法の言葉〟はない。普段の何げない会話の積み重ねが大切なのだ。「不登校」テーマに講演「ひきこもり」「うつ」を考える集い天理ファミリーネットワーク「天理ファミリーネ-ワーク(TFN)」は6月26日午後、第1回「『ひきこもり』『うつ』を考える集い」をオンライン開催。当事者家族やおたすけに携わる人など3人が参加した。同「集い」は、講義や意見交換を通じてさまざまなヒントを得るとともに、悩みを共有し支え合うことを目指すもの。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響から中止を余儀なくされたため、今回初めてオンライン形式で行われた。当日、早樫一男・TFN代表(彌榮分教会彌生布教所長)のあいさつに続いて、臨床心理士の掛井一徳氏(かけい臨床心理相談室代表)が「不登校見守りの半歩先へ」をテーマに講演。昨年、コロナ禍による一斉休校の影響で急増した不登校の子供へのアプローチの仕方について話した。その中で掛井氏は、不登校とひきこもりに共通するのは「安心できる場所を確保する手段として社会的撤退をし、傷ついた心を回復させている」ことだと指摘。その改善には、まず本人の心の回復を前提にする必要があると強調した。そのうえで、「感情の共有体験で育まれる『基本的自尊感情』と、褒められた経験などで得られる『社会的自尊感情』を高め、自身の存在を肯定できるようになることが改善につながる」と語った。また、親のいきいきした姿を見ることで当事者は安心感を得るとして、「保護者自身がいま何をしたいのかを、ぜひ考えてもらいたい」と話した。最後に掛井氏は「言葉にせずとも、当事者は保護者の目線を背中で感じているので、『この子なら大丈夫』と思う前提が大切になる。視線や言葉、行動で存在を肯定し、心の声に耳を澄ませて寄り添ってもらいたい」と述べて、講演を締めくくった。なお、同「集い」は今後、9月と11月にオンライン形式で開催される予定。「集い」では、臨床心理士の掛井一徳氏が不登校の子供たちへのアプローチの仕方について語った(6月26日午後)おやのこころおやのことば目に見える徳ほしいか、目に見えん徳ほしいか。『稿本天理教教祖伝逸話篇』63「目に見えん徳」七夕に合わせて、妻や子供たちと短冊に願い事をしたためました。織姫と彦星の伝説はよく知られますが、市街地の空に、主だった星や天の川を肉眼で見ることはかないません。十数年前、南半球のオーストラリアを訪れた日の夜、満天の星々を見上げて思わず言葉を失いました。考えてみると、日本の上空にも星は無数にあるはずで、普段は街明かりが邪魔になっているだけです。確かにあるはずなのに目に見えない、あるいは見えづらいもの――そうした存在に気づく大切さを、オーストラリアの星空が教えてくれた気がしました。「目に見える徳ほしいか、目に見えん徳ほしいか」子供たちの短冊には「新しいおもちゃが欲しい」「飛行機に乗ってみたい」などと、幼子らしい素直な願望がつづられています。目に見えない徳積みの大切さも知ってほしいと考えていたところに、少年会本部が夏休みに合わせて「ひのきしんカード」を作成てくださいました。これを応用し、ひのきしんに加えて「あいさつをする」「おつとめのときに大きな声で歌う」といった簡単なチェックシートを作り、就寝前に親子で一日を振り返りながら、カードにシールを貼ることにしました。始めて1週間ほどですが、いまのところ楽しげに取り組んでくれています。「みんな仲良く元気に過ごせますように」。笹に掲げた願いが天に届くよう、日々の徳積みに家族ぐるみでいそしむ夏にしたいと思います。(さ)