天理時報2021年6月6日号6面
天理時報創刊90年記念懸賞エッセー入選作品テーマ私の「陽気ぐらし」永井幸子9歳・愛一分教会教人・愛知県豊橋市デイサービスでおたすけ数年前、主人が29歳で出直しました。以前は主人が運転する車で信者さんのところへ行って話を聞かせてもらったり、おさづけを取り次いだりしていたのに、足も痛くなり、家の中にこもって本や『天理時報』を読んだり、居眠りしたりする生活になってしまいました。会長夫妻や娘たちが、何もしなくなった私が老化していくのを心配し、デイサービスへ行くように手続きをしてくれました。週に1日だけ行くことになり、平成28年8月、初めて出かけました。到着して入り口で手指消毒をして部屋に入ると、利用者の方が2、人、指導員の方が4人いらっしゃいました。ティータイムの最中でしたが、先生からご紹介いただき、「よろしくお願いします」とあいさつしても誰一人、返事がかえってこない。そこで先生が、「今日お迎えに行かせていただいたら、天理教と書いてあったけど、天理教ってどういう宗教?」と聞いてくださいました。「お時間、1時間くらい頂けますか」とお断りして相手を打ち、立教のお話を取り次いだ後、一礼して見渡すと、4人の先生方がじっと聞いてくださり、あとの方たちは「この人は何だ?」という顔をしていました。まだデイサービスへ行くのは早いと思っていましたが、この人たちに笑顔が戻るよう、週に1日だけでも陽気に喜んでもらうのが私のおたすけなんだと思ったとき、神様は90歳を過ぎた私にも、まだまだできることがあると御用をお与えくださったのだと、心から喜びが湧いてきました。以来、部屋に入るときは「おはよう」と大きな声をかけるようにしました。最初は一人も返事がかえってきませんでしたが、一人また一人と返事が聞こえてくるようになりました。あるとき、利用者の方が「熱があるからお風呂はやめる」と申し出ていました。頭も痛いと言われるので、「実は私は神様から、人さまが病気のとき拝ませていただくお宝を頂いているのよ。よかったら拝ませてもらいましょうか」と。すると「なんだか分からんけれど、この熱が下がるなら拝んでください」と言われるので、おぢばの方角へ向かってお願いし、おさづけを取り次がせていただきました。30分ほどすると「気分が良くなったので起きます」と言われ、戻ってきた先生も、ほかの方もびっくりして、「もう良くなったの」と。それぞれ不思議そうな顔をしているので、おさづけを取り次いだことを説明すると、二人の先生が何度もお礼を言われました。お礼はいいから、おさづけの理を少しでも分かっていただいたらありがたいんだけれど、一一夕にはいかないもの。でも、本は喜んでくれ、先生も「不思議だね」と言ってくださいました。また別のある日、隣で食事をしていた方が突然、喉に何かを詰まらせて苦しみだしました。二人の先生がびっくりして、私も加わって背中をたたいても治まらない。先生は「誰か!」と言って飛んでいきました。このときも、おさづけを取り次ぎ、「親神様・教祖、ありがとうございました」と二拍手を終えたとき、親指より少し大きい鶏の唐揚げが口からポロっと落ちました。戻ってきた先生がそれを見て、「ああ良かった。出たんだね」と胸を撫でおろしたとき、本人が「永井さんに拝んでもらったら鶏肉が飛び出てきて、なんとも言えん不思議な気持ちだった。命拾いしました」と何度もお礼を言うので、「もうお礼は十分よ」と、手を取り合って喜ばせていただきました。デイサービスに来る人の中で、高齢の一人暮らしが半分、嫁さんと合わない人が3人。その方々の愚痴も聞いて、嫁さんの良いところも聞き出し、それだけでも喜ばせてもらうようにとお話しすると、その方の口から嫁さんをほめる言葉が出てくるようになり、和気あいあいになってきました。その方々に喜んでいただけるよう、私も教祖の道を思い起こし、毎日を陽気に通っています。とにかく週に1日のデイサービスですが、これが私の陽気ぐらしです。(要旨)人と関わる知恵カウンセリングエッセ金山元春天理大学教授本部直属淀分教会淀高知布教所長「管理型」集団から脱却する私は子供の成長を促す学級集団の育成について研究しています。日本の学校では、あらゆる活動が学級単位で展開されます。そのため学級集団の状態は、子供の発達に大きく影響します。ここで紹介するのは、子供の集団に関する研究の成果ですが、その知見は大人の集団にも通用すると思いますので、それぞれの立場で参考にしてください。教育心理学者の河村茂雄博士は、長年にわたる研究成果から、子供の発達が妨げられる集団の特徴について整理しています。その一つは、教師の強い指導によって集団の”ールが維持されているものの、教師と子供、子供同士のふれあい(心理学では「リレーション」といいます)が不足している「管理型」学級です。集団の雰囲気としては「かたさ」が感じられます。子供は静かに授業を受けていますが、学習意欲は低く、主体的活動はあまり見られません。結果として、「できる子」と「できない子」が生まれやすく、学力が低い、運動が苦手など、団内での地位が低いと見なされてしまう子供は、周りから軽視されるようになります。教師から叱責を受けることが多いのも、これを助長します。そうした風土が、いじめにつながることもあるのです。また、河村博士の研究成果によると、教師が意識して指導行動を修正しない限り、同じ教師が担任する学級は、同じような集団状態に至ると指摘されています。教師には、集団にルールを定着させ、目標達成や課題遂行を促す指導力が必要です。その一方で、子供の心情に配慮したり、集団を親和的にまとめたりするための援助的関わりも求められます。集団の状態を見極めながら、ルールを定着させるための指導とリレーションを育むための援助を、バランスよく実行していく必要があるのですが、一貫して厳しく指導する教師のもとでは、管理型の集団が生まれやすいとされています。この理論は大人の集団でも参考になると思います。集団の風土に堅さや息苦しさを感じる場合、リーダーの管理が強すぎるのかもしれません。その場合は、メンバーの活動量を増やしたり、自己表現を促したりして、すべてのメンバーが認められる場面を設けることが大切です。絵・うえかな