天理時報2021年6月6日号5面
イルカIrukaシンガーソングライター歌、旋律、つながかる心……目に見えないものが元気をくれる新型コロナウイルスの感染拡大には、いろんなことを考えさせられます。コロナは怖いですが、人々の心が攻撃的になったり、人を疑うようになったりすることのほうが怖いですよね。こんなときこそ、音楽など芸術の力を発揮できればと思っています。世界で起こる異常気象や自然災害、それに今回のコロナも、何か目に見えない大自然のようなものによる人間への教育なんじゃないかと思うんです。それは親心”でもあります。親が子供に何かを教える際、ときに温かく、ときに厳しくしますよね。そういう親心が、私たちに向けられていると感じています。コロナで活動自粛になって不満を持つだけでは、もったいないですよね。きっと何か教えられているんです。投げかけられているものをしっかり受け止めて学んでいくことで、向かい風のなかでも一歩前へ進めるようにしたいですね。この人に訊くこの人に会いたいこの人に訊きたい山下裕二美術史家「縄文×弥生」が生み出す日本美術の潜在力日本美術は、「縄文」と「弥生」という二大類型に当てはめることができます。「縄文の造形」は、火焔型土器に代表される、装飾的でエネルギッシュなものです。一方、「弥生の造形」は、調和のとれた美しいフォルムに抑制のきいた文様が施され、機能的で無駄がない。日本に美術史が確立した明治時代以降、後者が「日本的美」の特質であるとされ、縄文土器や土偶は、美の対象ではないと切り捨てられてきました。日本の文化は、弥生時代以降、ユーラシア大陸から流入する文物を取り込みながら、独自の発展を遂げてきました。そして、弥生的な美が「日本的美」の主流となりました。しかし、弥生の地層の真下には、縄文の豊かな伏流水が流れていて、ときどき間欠泉のように吹き出してくる。それが伊藤若冲のような規格外の絵師だと思うのです。日本の美術には、縄文的なるものと、弥生的なるものの両面があり、そのハイブリッドであるから、豊かなものになっているのです。「特別寄稿雑誌としての『すきっと』評岩本敏IwamotoSatoshiフリー編集者バックナンバーを読みたくなる魅力カ年、雑誌編集に携わった私は、「雑誌長というのは、興味のなかった事物や人に出会う機会を提供するメディア」だということにこだわってきた。それが、テレビ、インターネットなどのメディアと異なる、雑誌特有の魅力だと、今も思っている。雑誌を手に取るきっかけは、一つか二つの興味ある記事に惹かれてだと思うが、実際に読んでみると、自分が興味を持っていた記事以外に、おもしろい情報を見つけたり、それまで関心のなかった新しい視点や分野に出会ったりすることが少なくないそれは、視野と知的生活の幅を広げる機会となる。きっと』には、ストレスを感じさ『すせない記事内容とその見せ方の絶妙なバランスを感じる。想定読者層が熟年層ならば、より心身ともにストレスフリーであることが大切だ。手に持って読んでいて重さを感じさせず、大きめの文字で読みやすいといった身体に優しい作りと、心を豊かにする記事を中心にした、精神的にストしレい。スを感じさせない内容であることがまた、巻頭のインタビュー特集以外に、より心惹かれる記事も多い。それは、かつて私が雑誌を編集するうえで重要視していたことでもあり、雑誌を読む悦びを思い出させてくれた。雑誌の情報に速度は期待されていない。人の生きる力や、心豊かに生活する知恵など、雑誌が提供できる不変の情報こそが求められている。そういう意味では、『すきっと』は、バックナンバーを読みたくなる魅力を備えている、と言えるのではないだろうか。【いわもとさとし】1947年、岡山県生まれ。小学館で40年にわたり雑誌編集に携わる。『BE-PAL』『サライ』『ラピタ』等の編集長を務めた後、同社執行役員、同社電子出版担当社長室顧問、ネットアドバンス社取締役を歴任した。オフィスらくだ代表。