天理時報2021年5月2日号8面
女子高生ジャンパー日本選手権U20優勝大阪の吉田花鈴さん大阪市の吉田花鈴さん(高校3年・陽野宮分教会信者)は先ごろ、「日本はしり陸上競技選はばとび手権大会・室内競技2021日本室内陸上競技大阪大会」ジュニアの部女子U20走幅跳で初優勝を果たした。この結果を受け、オリンピック育成競技者に選出された女子高生ジャンパーは、世界の舞台を夢見つつ、まずは今年のインターハイでの2冠を目指している。中学時代、走幅跳で全国4位に入った。高校進学後は自身の課題克服に注力。足のバネを強化する練習や、踏み切った直後から着地するまでの動作を改善してきた。こうした地道な練習により、昨年の「全国高校陸上競技大会兼U20全国陸上競技大会」では、走幅跳・三段跳の両種目で3位に入り、自己ベストを更新。全国トップレベルの選手が出場する日本室内陸上競技大阪大会では、走幅跳で593の跳躍を見せ、前年の全国高校覇者を上回る記録で優勝。「全国高体連合宿」に五輪育成競技者として招聘された。吉田さんは「結果を出せたのは、けがで思うように練習できず、苦しかった時期があったからだと思う」と明かす。かりものへの感謝を胸に中学3年の秋、アクシデントで右踵を負傷した。日に日に痛みが増し、ついに歩くこともままならない状態に。焦りを感じながらも、筋力を保つトレーニングを続けた。そんななか、教会長夫妻である父・武志さんと母・陽子さんから、かしもの・かりものの教えを聞いた。その後は「体をお借りしていることへの感謝の気持ちを行動に表そう」と、自教会の撤饌や掃除、周辺の落ち葉掃きなどのひのきしんを自主的に行ってきた。現在も日常的に、ひのきしんを続けている。吉田さんは「けがをしたときに体を自由に使わせていただける有り難さを感じ、苦しい時期を乗り越えることができた。今後も感謝の心を胸に練習を重ね、走幅跳と三段跳の両種目で高校陸上の頂点を狙う。そして、いつかオリンピックの舞台に立ちたい」と話した。吉田さんは全国大会で好成績を収め、五輪育成競技者にも選ばれている読者のひろばタイで日本語教師を経験奥村勇弥(24歳・奈良県広陵町)3年前、天理教校本科実践課程に在学中、当時の主任先生からタイ出張所での青年勤めを勧められた。海外派遣に興味があった私は卒業後、へ。当時の自分にとって、慣れない土地での生活は、楽しみ半分、不安半分だった。タイ出張所では、現地の人たち向けの日本語教師を務めた。言語を教えるのは想像以上に難しく、単に翻訳しただけでは伝わらないこともある。分かりやすく伝えるための工夫が必要だと感じた私は、絵を描くことが好きだったことから、イラストを自作して授業に取り入れてみた。すると、生徒たちの反応がすこぶる良くなった。1年が経ったころ、タイでも新型コロナウイルスが広がった影響で、オンラインで授業を行うことに。対面なら簡単に伝えられたことも、画面越しでは伝わらない。そこで、より親しみをもってもらえるようにキャラクターを活用するなど、以前にも増してイラスト作成に力を入れたところ、生徒たちは楽しんで授業を受けてくれた。その分、準備は大変だったが、所長先生からも「丁寧に授業をしている」と褒めていただいた。今年3月、青年勤めを終えて帰国した。将来はタイでの経験や特技のラストを生かし、来日した人や日本に興味を持つ人に、分かりやすく日本語を教えていきたい。投稿・お便り募集〒632-8686天理郵便局私書箱30号FAX0743-62-0290Eメール[email protected]※いずれも、天理時報「読者のひろば」係文芸連載小說ふたり星の降る夜は/片山恭一画/リン第23話少年カンは「本の虫」ハハが言うには、カンは「本の虫」なのだそうだ。あの子の興味が、虫から本に移っているのはたしかである。いまはクモやトカゲを観察するかわりに本ばかり読んでいる。ツツの報告によれば、休み時間はほとんど図書室で過ごしているらしい。家に帰ってからも、暇さえあれば本を読んでいる。そのうちカンの頭のなかが図書室になるかもしれない。「息をするのを忘れているんじゃないかと思うくらい」「それは重症だ。本を読むのにアクアラングが必要になるかもしれないぞ」わたしにはトトとハハの気持ちがよくわかった。彼らは感じているのだろう。カンのなかで何かが起こりつつあることを。その変化を不安と期待をもって見守っている。もちろんかも感じている。ただそれは、あの子が遠くへ行ってしまうような寂しさだった。人が喋っているときは一つの言葉を喋っている。それは人間の言葉だ。ところがあの子にとって、言葉は人間だけのものではない。虫や動物や草花や木々が語りかけてくること。風の歌や波の音楽。それらもカンにとっては大切な言葉だ。生まれたばかりの赤ん坊はきっとみんなそうなのだろう。人間が虫や動物たちの兄弟でありえる、とても短い時間だ。やがて成長して言葉をおぼえ、人間の言葉を喋りだすと、それ以外の言葉は聞き取れなくなる。言葉にかんしていうと、あの子はいまも自然の大きな環のなかにいるのかもしれない。しかし小学校では、カンは口をきかない風変わりな子どもに見える。たくさんの言葉をもっていることが、外側からは言葉をもってないのと同じに見える。そのために心ない級友たちからからかわれることもあった。守ってくれたのは担任の先生だ。若い男の先生だった。「誰かが自分と違っているからといって、その人を見下したり、自分のほうが偉いと思ったりしてはいけません。そんなことは許さない。教室ではもちろん、学校のなかでも学校の外でも、先生は絶対に許しません」立派な先生だが、カンのことを本当に理解していたかどうかはわからない。少なくともわたしほどには理解していなかっただる未来を知ることは可能だろうか?どうやらあの子には可能らしい。それもたんに未来を予測するのではなくて、この先に何が起こるか正確にわかってしまうらしいのだ。わたしが思うに、人間の魂に映し出されるのは現在だけである。しかし動物や植物や石ころなど、すべてを含む自然の魂には、現在だけでなく過去も未来も映し出されている。虫や動物や植物や光や風と気持ちを通い合わせることができるカンには、普通の人とは違った、もっと遥かに大きな魂が備わっているのだろう。いいことかどうかわからない。知らないほうがいい未来もあるからだ。「ふたり」のバックナンバーを道友社HPで公開中。登場人物の相関図や作者のプロフィールも閲覧することができます。下記QRコードからアクセスしてください。