天理時報2021年4月18日号8面
「ぜったいグランプリ」の朗読YouTubeで特別公開!『中島みゆき第二詩集四十行のひとりごと』の1篇道友社はこのたび、『中島みゆき第二詩集四十行のひとりごと』に収載されている1篇「ぜったいグランプリ」の朗読映像を制作。18日から3カ月間、本書の特設ページおよびYouTube上で特別公開する。名曲『時代』が世に出るストーリーを作品化シンガーソングライターの中島みゆき氏による『中島みゆき第二詩集四十行のひとりごと』は、『天理時報』創刊90年記念出版として昨年10月1日に発売されると、1カ月を待たずに重版決定。さらには、本書を取り扱う全国各地の書店から、いまだに在庫切れによる追加注文が相次いでいる。本書に収載される186篇の詩の中で、名曲『時代』が世に出るストーリーを綴った「ぜったいグランプリ」は、特に話題を呼んでいる。道友社では、この1篇をラジオドラマ風に仕立てた朗読映像として制作。俳優による情感のこもった朗読に、BGMや効果音も相まって、40行の詩の世界が奥行きをもって広がっているまた、この4月は、著者のファーストアルバム発売から45周年となる節目の月”こうしたなか、朗読映像を18日から3ヵ月間(7月17日まで)、本書の特設ページおよびYouTube上で特別公開する。「ぜったいグランプリ」朗読映像には、QRコードからアクセス(18日公)開朗読と台詞で立体的作品に佐藤剛音楽プロデューサー/ノンフィクション作家『中島みゆき第二詩集四十行のひとりごと』の中で発表された、「ぜったいグランプリ」と題した詩が、朗読と台詞によって立体的な作品になりました。1975年の春から日付順に書いてあった出来事みひとつ残らず、アーティストの誕生にとって重要なメルクマール(指標)となったものです。それらのことが、情緒を抑えた落ち着いた女性による朗読と、男性たちの熱い叫びによって、横の移動と縦の奥行きを文字で感じさせる作品に仕上がっています。一度ならず二度三度と、繰り返してお楽しみください。「ぜったいグランプリ」読者の声・「『時代』にまつわるこんなエピソードがあったのか!」という驚きと、裏話を新たに知ることのできたうれしさでいっぱいです。(10代男性)・読んだ直後、喉が詰まり、涙が止まらなくなった。なぜ中島みゆきさんの歌が好きなのか、あらためて分かった気がする。(50代男性)・何度も読み返している。中島みゆきさんの原点に、ペーペーの方々の思いや願いがあるのだと知った。(70代女性)・読みながら、詩の中の情景が浮かび、涙した。中島みゆきさんは、いろいろな経験を重ね、人や自然の姿を眺めてきたからこそ、素敵な歌、詩を生み出すのだと思った。(60代女性)・佐藤剛氏の特別寄稿(特設ページ掲載)を読むことで、この詩の内容を深く理解し、中島みゆきさんの心の内までうかがえたように思う。(60代女性)文芸連載小説ふたり星の降る夜は作/片山恭一画リン前話のあらすじカン、ピノ、ツツは、近所の砂浜でボール遊びなど平穏な一日を過ごす。帰りの車内でフウちゃんからアフリカの音楽の話を聞いた。第24話ピアノより大切なもの芝生の庭にテーブルと椅子が並べてあった。ツツの家族がやって来たのは水曜の夜である。その日はフウちゃんもサユリさんもホテルの仕事が休みだった。ハハのつくった料理にサユリさんの料理が加わった。フウちゃんは花を持ってきた。トトはワインを用意した。またしても酒だ。頭のいいチンパンジーは、ワインを発明したことで人間へ進化したというのがトトの説だ。だが考えてもみてほしい。犬はワインを発明しなかったが殺し合いはしない。どちらが種として好ましいだろう?愚かしい飲み物とともに食事がはじまった。トトは主にフウちゃんと話している。「アフリカではみんながむしゃらに働く。がむしゃらに働いて、がむしゃらに戦って、必死で何かを手に入れようとしている。何を手に入れようとしているのか?セイフティだよ」「なるほど」とトトが言った。「みんな恐怖の海を泳いでいるから」今度は黙ってうなずいた。「日本人は何が欲しいのか、わたしにはわからない。何を欲しがっているのか。なんでもあるのに、安心もあるのに、ひたすら欲しがっている。神さまにねだる。これをください、あれをください。でも絶対に満足しない。いつも欲しがっているよね。神さまは何もかも与えてくださっているのに、誰も幸せではない。もう神さまにはどうすることもできない」サユリさんはハハを説得していた。「絶対にピアノを習わせるべきよ。才能があるんだから」「あの子が習いたいって思えばね。でも、いまのところはバイエルやハノンよりも虫やトカゲのほうに興味があるみたい」ツツはカンに向かって一方的に喋りまくっている。「砂浜に恐竜の化石が埋まっているのは間違いない。声を聞いたんだから。歩いていたら足元から聞こえてきたの。掘り出してくれ、妻に会いたいって。どこかに展示されているらしいんだな、彼の妻は」「タコの神経細胞の五分の三は脳ではなくて腕にある」。話しているのはトトだ。「どれか一本が切断されると、その腕は数時間、何事もなかったかのように動きつづける。狩りをつづけ、小魚の一匹くらいはつかまえるかもしれない。しかし獲物を口に運んでも、その口はもう腕とつながっていない」「悲しい話だね」「まったく悲しい話だよ。ワインをどうだい?」「やっぱり無理に勧めないほうがいいかもしれない」。サユリさんがさっきとは違うことを言った。「子どものころには、ピアノよりもっと大切なことがあるのかも」「虫とか?」「犬とか」「最近は本に興味をおぼえているみたい」「ツツも見習ってくれるといいんだけど」文芸小説「ふたり」のバックナンバーはこちらから