天理時報特別号2021年8月号3面
自らの命をも覚悟しなければならない病気になった経験を持つ。それだけに、心配な出産であったが、娘夫婦は、教会で受け入れる人たちへの親身な世話取りを通じて、安産というご褒美を神様から頂戴したのだと思う。また、第1子出産時のことを知る多くの人たちから、祈りと応援があったこともありがたかった。娘夫婦は、誕生した子供を「つむぎ」と命名した。その名前を聞いたとき、うれしくて目頭が熱くなった。私は数年前に『家族を紡いで』(道友社刊)という本を上梓した。わが家で育つ里子たちが将来、家庭を持つ日を迎えたときに、家族を優しく包み込める大きな布のような人になってほしい。里親とは、その糸紡ぎのようなものかもしれないと心に浮かび、本のタイトルにした。娘夫婦も、これからさまざまな人と出会い、その人たちの幸せを願って糸紡ぎの人生を送ってくれることだろう。「つむぎ」という命名そのものが、私の心を優しく包んでくれた。緊急事態宣言下での出産は、家族の付き添いさえ許されなかったが、産院の配慮で分娩室と電話がつながり、音声を聞くことができた。スマートフォンから聞こえてくる産院スタッフの声に感謝しながら、教会の朝づとめが始まった。出産後、娘から「リモート出産のおかげで、分娩台でおつとめの音を聞くことができて、終了と同時に元気な産声を上げてくれました。厳しい状況の今だからこその経験だなあって感じます。ありがとうございました」とのメールが届いた。分娩室に流れたおつとめの音と、おつとめ終了直後に聞こえた産声は、神様から娘と私たちへの最高の贈り物となった。これからも人に寄り添う生き方をしようと、娘から送られた孫の写真を見ながら、心に誓った。私の好きな風景表紙のはなし西薗和泉IzumiNishizono「多肉植物」ハワイ土産にもらったグァバジュースの空き缶に、多肉植物を植えてみました。それだけで気分はハワイアン!!暑い夏を乗りきらねば………。写生場所・・・・・・自宅にてにしぞの・いずみ1960年、奈良県天理市生まれ。84年、京都市立芸術大学油画科卒業。2021年まで天理中学校美術教諭を務めた。著書に『木かげと陽だまり水彩こころの覚え描き』(道友社刊)がある。