天理時報特別号2021年5月号2面
家族のハーモニー里子の登校に付き添う朝ありがたさが込み上げて白熊繁一ShirakumaShigekazu1957年生まれ天理教中午分教会長温かい心の友達や先生「ねえ、まん丸の石見つけたよ」「見て、この花は人の顔みたいだね」私は毎朝こんな会話を楽しみながら、小学三年生の文也(仮名)を学校まで送っている。文也には弱視などの障害があるため、安全を配慮して、入学以来続けている日課でもある。一人で登校した際に、電柱に頭をぶつけたり、路上駐車の大きなダンプカーに進路を阻まれ、戻ってきたりしたこともあった。落ちている葉っぱや、通学路の家の塀際に並ぶ植物に興味を示して、しばらくしゃがみ込んでしまうこともある。そんなときは、彼のしたいように、しばらく付き合う。だから毎朝、少し早めに家を出るようにしている。とあるマンションの前で、別の小学校に通う少女が文也を待っている。毎朝、同じ時間に会うので、いつの間にか友達になった。「今日も会えたね。一緒に行こう」と文也に呼びかけ、そこからわずかな道のりを共にする。少女は、ビニール袋に入った家庭のごみを集積場へ運んだり、ビンと缶の資源ごみを分別ケースに入れたりと、家の手伝いも欠かさない。「いつもおうちのお手伝いをして、偉いね」と私が言うと、「今朝はお母さんが忙しいから、保育園へ行く弟にご飯を食べさせたんだよ」と、自慢げに話してくれた。少女の楽しそうな口ぶりから、とても健康な家庭であることが分かる。やがて、二つに分岐する道路で少女と別れると、文也が通う学校の生徒が現れた。「一緒に行こうぜ」と文也の手を取り、共に駆けだす。私の手から文也の手が離れ、小さな背中を見送りながら「気をつけてね」と声をかける。前方の校門には、生徒を出迎える校長先生の笑顔があり、一礼して帰途に就く。文也を支えてくれる友達や先生方の心が温かくうれしい。