天理時報2021年1月24日号1面
「一手一つ」スローガンに頂点第57回「全国大学ラグビーフットボール選手権大会」合言葉は「日本一で恩返し」天理大ラグビー部黒衣を纏った選手たちが、天理ラグビー1世紀の歴史に新たな金字塔を打ち立てた――。前号既報の通り、天理大学ラグビー部は11日、東京・国立競技場で行われた第5回「全国大学ラグビーフットボール選手権大会」の決勝に臨んだ。昨年8月に部内で新型コロナウイルスの集団感染が発生。今季の活動再開も危ぶまれるなか、教友はもとより、天理市民やラグビーファンらの支援や応援を受け、約1カ月間の活動休止期間を経て復活した。選手たちは「日本一で恩返し」を合言葉に、11月に関西Aリーグ5連覇を達成。〝関西王者〟として大学選手権に臨むと、初戦の相手・流通経済大学を圧倒。準決勝では、一昨年の決勝で敗れた名門・明治大学に快勝し、2年ぶり3度目の決勝へFW・BK一体となった攻撃と守備で、チームスローガンである「一手一つ」をプレーで体現。前大会王者の早稲田大学を相手に8トライ565得点と完勝し、創部9年目にして、大学ラグビー界の頂点に初めて立った。なお、今回の優勝は関西勢として3686大会ぶり2校目の快挙であり、決勝での55得点は大会史上最多を記録し(2・4・5・6面に関連記事)2年前、大学選手権9連覇中の帝京大学大会の準決勝で下し、7年ぶりにファイナル進出。しかし、決勝相手の明治大学に1トライ差で敗れた。ピッチに座り込み、空を仰いで悔し涙を流す選手たち。小松節夫監督(5歳)は選手たちを労いながらも、歓喜する相手選手の姿を目に焼きつけるよう促した。「優勝した明治大学は、前年の決勝を1点差で負けて悔しい思いをした。帝京大学も、9連覇の前は早稲田大学に負けて同じ思いを味わっている。両チームともそこから優勝への新たな挑「戦が始まった」と小松監督は振り返る。翌年度、天理大は創部初の関西Aリーグ4連覇を達成。リーグ戦全7試合の総得点は7点。2位の同志社大学を大きく引き離し、関西では頭一つ抜け出る存在へと成長した。ところが、その後の大学選手権では、準決勝で早稲田大に141-5と大敗。2年続けて〝関東勢の高い壁〟に阻まれた。昨年4月、新チームは松岡大和主将(4年)のもと総勢7人の大所帯でスタート。敗れた明治戦と早稲田戦の試合後の写真を、寮内で最も人目につく場所に貼り出し、「負けた悔しさを忘れないように」と、全員で雪辱の思いを共有した。今季は、前回大会のスターティングメンバー15人のうち1人が残る。なかでも松永拓朗選手(同)、藤原忍選手(同)、シオサイア・フィフィタ選手(同)は1年時からレギュラーを張り、経験値が高い。新型コロナウイルスの影響で全国へ「緊急事態宣言」が発出されている間は活動自粛を余儀なくされたが、6月11日に再開。練習強度を徐々に上げ、自粛期間中に失っていたプレーの感覚を取り戻しつつあった。多くの応援受け活動再開夏恒例の菅平合宿を目前に控えた8月12日、一部の部員が新型コロナウイルス陽性と判明した。すぐに練習を中断したが感染が広がり、最終的に6人が陽性と診断された。「これから菅平合宿で関東の強豪勢と力試しをしようというときに、まさか自分たちのチームが…….」と、一時は落胆した松岡主将。この一件がメディアで報じられると、非難や中傷の声が大学や天理市に複数寄せられた。部員たちは病院やホテル、自宅などに分かれて治療や待機。「このまま今季が終わってしまうのでは……」と、悲観的になる選手も少なくなかった。心ない声があった半面、それを上回る多くの応援や温かいメッセージがSNSなどで大学や部員に寄せられた。なかには「コロナをタックルでやっつけて!」などと書かれた、市内の少年ラグビースクールからの寄せ書きもあった。こうした応援の声を、部員のLINEグループで共有。松岡主将は「これだけ応援してもらっているのだから、活動再開を信じて前を向こう」と仲間に声をかけた。また自粛期間中、フィフィタ選手を中心にオンラインでトレーニングを続けた。9月10日、部活動再開後は急ピッチで練習を強化。その傍ら、天理警察署による特殊詐欺防止ポスター作製への協力や、並河健・天理市長らと市内の側溝の泥上げ作業を行うなど、地域貢献活動にも積極的に加わる。また週に一度、早朝から市内のごみ拾いを続けた。11月7日に関西リーグが開幕。5連覇を成し遂げたが、パスミスや防御の乱れなどの課題が残った。全国大会前の練習では、攻撃の陣形や防御網を修正。12月19日、選手権初戦となる準々決勝では、流通経済大学を18-77と圧倒した。年が明け、2日の準決勝の相手は、関東大学対抗戦グループの覇者・明治大。15人のスタメン全員が「花園」出場経験のある名門チームだ。キックオフ直後から敵陣深く攻め込む天理大は、開|始3分に先制トライ。その後も前半だけで3トライを重ね、1-5で折り返す。後半も勢いに乗る天理大。ディフェンス面ではタックル直後のリアクションの早さで常に数的優位の状況をつくり、相手の攻撃を寸断する。一方、アタック面でも怒涛の連続攻撃で後半3トライを挙げ、4-15で快勝。2年ぶり3度目の決勝進出を決めた。「感謝だけでは足りない」「つらい日々も、応援してくださった方々のおかげで頑張れた。感謝だけでは足りない。“日本一〟という結果で恩返ししたい」と、松岡主将は何度もメディアの取材に答えた。10日夜の都内ホテル。明日に決勝を控える選手が集まり、伝統のジャージー渡し”が行われた。一人ひとりの名前を呼び上げ、握手を交わす小松監督。最後に松岡主将へ黒衣を渡すと、指揮官はこう話した。「このチームは本当に良いチーム。『このチームをもっと見ていたい』と思い続け、これ以上ない最後の舞台まで試合を重ねられることを嬉しく思う。君らには優勝する資格が十分ある。悔いが残らないよう、自分たちの力を出しきり、明日は絶対優勝しよう!」迎えた国立競技場での大一番は、早稲田大のキックオフで始まった。雪辱を果たす、のではなく、支えてくださった人たちへの恩返し”を胸に、懸命に戦う天理フィフティーン。前に出る低いタックルからボールを奪い、前半3分、鮮やかな先制トライを決める。その後もFWBK一体となった多彩な攻撃でトライを量産。平成25年から部のスローガンに定めた「一手一つ」を、見事にプレーで体現した。前後半4トライずつ、計8トライを挙げ、決勝史上最多得点となる55-28で圧勝。創部6年目、3度目の日本一挑戦で悲願の初優勝に輝き、関西勢としては360大会(昭和60年、同志社大学の優勝)ぶりに大学ラグビー界の頂点に立った。試合後のインタビューで小松監督は「学生たちは本当にハードワークして、自分たちの力を出しきってくれた。自分たちだけでは到底乗り越えられなかった壁も、さまざまな方々のサポートのおかげで乗り越えることができた。今日まで支援してくださったすべての方々へ、あらためてお礼を申したい」と語った。松岡主将は「今日の優勝は、メンバー23人が体を張ったのはもちろん、部員全員の協力と、サポートしてくださった方々と、歴代の先輩たちが培ってくれた伝統のおかげだと思う。本当に、ありがとうございました!」と、涙を流しながら声を張り上げた。当日夜9時すぎ、部員とスタッフ一同は親里に凱旋天理駅で待つ教友や市民らが拍手で出迎えた。翌朝8時、永尾教昭・天理大学長をはじめ、チームスーツ姿の全部員が、本部神殿南礼拝場でお礼のおつとめを勤めた。この後、本部玄関へ。永尾学長、スタッフ、メンバー23人がそろい、真柱様と大亮様に初優一勝を報告した。天理大ラグビー部は、チームスローガンである「一手一つ」をプレーで体現し、初めて大学ラグビー界の頂点に立った(11日、東京都新宿区の国立競技場で)(ⓒJRFU)お知らせ今号は、天理大学ラグビー部の第5回「大学選手権」初優勝の記念号として、6面立ての特別編成でお届けいたします。道友社おやのことばやむほどつらいことハないわしもこれからひのきしん「みかぐらうた」三下り目※下段「おやのこころ」参照おやのこころ天理大学ラグビー部が「全国大学ラグビーフットボール選手権大会」決勝で早稲田大学に快勝し、悲願の初優勝を飾りました。しかし、ここまでの道のりは平坦ではありませんでした。コロナ禍で練習できない時期が続くなか、リーグ戦に向けた練習を再開して間もない8月、寮で集団感染が発生。約1カ月間の活動休止を余儀なくされる間、心ない誹謗中傷の声がネット上で広がるなど、つらく不安な日々を過ごしたのです。一方で、大学や市のサポート、市民らからの温かい応援の声が多く寄せられ、選手たちは前を向き、戦う原動力になったそうです。選手権を前に、松岡大和主将は「応援してくださった方々への感謝の気持ちを、日本一という結果で恩返ししたい」と力強く語りました。そして全部員が思いを共有し、ひたむきに戦い続けた結果、日本一を勝ち取ったのです。まさに〝恩返しの日本一〟でした。「八ッやむほどつらいことハないわしもこれからひのきしん」集団感染により、身も心も病んでつらい思いをした。その経験を通じて、周りの温かい支援や思いやりに気づき、ありがたいと感じ、その恩に報いたいとの一心で試合に臨んだ。親神様は、その心を受け取って、日本一という最高の結果に導いてくださったのではないでしょうか。コロナ禍の中での初優勝のニュスは、教内外を問わず、多くの人々に大きな感動と喜び、そして前を向く勇気を与えたのです。天理大学ラグビー部の皆さん、本当におめでとう。そして、ありがとう。(あ)新刊好評発売中!『中島みゆき第二詩集四十行のひとりごと』中島みゆき著書評通奏低音のように流れる教え芦田京子髙芝分教会前会長人は生涯を通じて、誰かに何かを伝えようとしている。赤ちゃんは泣いてお乳が欲しいとお母さんに訴える。大きくなると、大好きなあの人に、この気持ちを伝えたいと思う。年を取ると、思うように動かない体のもどかしさを、誰かに分かってほしいと切ない気持ちになる。だが「伝える」と「伝わる」との間には、切り立った崖がある。そこを越えるために、言葉や音楽や絵画があるのかもしれない。中島みゆきさんは、伝えたい想いが人々の心に伝わる稀有な力量の持ある日、長年、家庭の事情で苦しんできた婦人が言った。「昨日届いた『天理時報』の中島みゆきの詩、読んだ?私、本当にそうだって思ったわ」それは、この詩集に掲載されている「ビギナーズラック来い「来い」という詩だった。さらりと読み過ごしていた私とは違って、長い年月を苦しみの中に身を置いた彼女が、「私の人生って何だったんだろう」と、ふと虚しさに襲われたとき、この詩に出会って救われたのだ。彼女と中島みゆきさんは、形こそ違え、その深さにおいて、同じ苦しみを共有していたこの詩集の根底には、教祖の教えが、通奏低音のように流れているのを感じる。と同時に、真摯な一人の女性の人生を想う。「祭の中」という詩がある。どの詩も個性的な魅力を湛えているが、私の一番印象に残った詩である。「この祭とは、おぢばの祭典だ」と感じ、次に「いや、教祖の年祭かもしれない」と思った。中島みゆきさんの信仰がいつ、どのようにして始まったのか私は知らないが、この祭で、亡きお父上に出会われたことは、とても大きな出来事だったのではないかと勝手な想像をする。この詩を読むたびに、お父上に対する想いの深さに目頭が熱くなる。彼女の歌が人々の心をとらえ、歌い継がれていくのを見ると、多くの人々が、教祖の教えを心の深いところで求めていることを感じる。こんなふうに、心に染み入るメロディーに乗せて、ふんわりとした詞(詩)に寄せて、伝えられないものかと我が身を顧みる。『天理時報』一部地域の手配り休止のお知らせ道友社新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「緊急事態宣言」が再び発出されたことを踏まえ、京都、大阪、兵庫、愛知、岐阜、東京、千葉、埼玉、栃木、神奈川、福岡の11教区において、『天理時報』の手配りひのきしん活動を一時休止し、郵送による直送へと切り替えます。なお、今後の政府・自治体の発表によっては、手配り活動を休止する地域が広がる可能性がありますので、その都度、当該教区と対応を協議していきます。また、郵便物の遅延も各地で予想されます。読者の皆様には、何卒ご理解いただきますようお願いいたします。(20日記)