天理時報2021年5月23日号8面
TenriSports[天理スポーツ]クイーンズカップ準V天理大レスリング部大谷彩歌選手天理大学レスリング部の大谷彩歌選手(2年)は4月10、11の両日、東京都世田谷区の駒沢体育館で行われた「JOCジュニアオリンピックカップジュニアクイーンズカップレスリング選手権大会」ジュニアの部59キロ級で準優勝を果たした(写真)。幼少のころは柔道に打ち込んでいたという。小学生になって柔道仲間に誘われ、地域のレスリング場へ通うようになった。その後、レスリング名門の中高一貫校である堺リベラル中学校へ。全日本ジュニアレスリング選手権大会カデットの部で、2、3年時に3位入賞。また、沼尻直杯全国中学生レスリング選手権大会では、48キロ級で準優勝した。高校3年時、インターハイ57キロ級で3位入賞すると、全日本女子オープンレスリング選手権大会シニアの部57キロ級でも大学生を相手に奮闘、3位に入った。高校時代、天理教校学園高校との合同練習で何度も天理へ足を運んでいたことをきっかけに、天理大へ進学した。得意技は、素早い動きで相手の背後を取る「片足タックル」と、手を摑んで一気に投げる「一本背負い」。昨年の「西日本学生選手権」62キロ級では、持ち前のスピードを生かしたタックルを武器に準優勝した。その後、技を決めきる力を課題として、一つひとつの技の形を確認し、スパーリングなどの実戦的な練習に打ち込んできた。また、技のバリエーションを増やすため、片足タックルとは逆の足への「すかしタックル」も取り入れた。迎えたクイーンズカップ当日。準決勝では「すかしタックル」を決めて試合の流れをつくると、10-0とテクニカルフォールで勝利し、決勝へとコマを進める。決勝では、得意技の「片足タックル」を決めて相手の背後を取り、一時はリードしたものの最後は逆転を許し、2-11で準優勝となった。福井裕士コーチ(32歳)は、「練習してきたことを、しっかりと発揮できていた。今大会を含めて、決勝で敗れたのは世界レベルの選手ばかり。いまよりもワンランク上を目指し、さらなる練習に励んでもらいたい」と話す。大谷選手は「年度初めの試合で良い結果を出せたので、素直にうれしい。これからより一層実力をつけて、全国初優勝を目指したい」と意気込みを語った。ニュースアップ「教会が集いの場に」北陸大「こども食堂ほくほく」TV番組で紹介北陸大教会(小原万太郎会長)主催のこども食堂「こども食堂ほくほく」の活動が、先ごろ地元のケーブルテレビ「チャンネルO」で紹介された。同教会では、食事を通じて地域住民のおたすけにつなげられればと、3年前にこども食堂をタートさせた。ところが1年か経ったころ、新型コロナウイルス感染拡大の影響でやむなく活動休止。その後、昨年12月に手作り弁当の販売形態で再開して以来、地域住民に寄り添う取り組みを続けてきた。4月9日には、机や調理道具などを念入りに消毒したうえで、豚カツや磯辺揚げなど5品が入った弁当を調製(写真)電話やLINEで事前に予約を受けた100食を販売した。小原絵美さん(33歳・北陸大教会長夫人)は「毎回、スタッフ全員で無事に実施できるようにお願いづとめを勤めてから準備に掛かっている。地域住民の再開を喜ぶ声を聞いているので、今後も活動を続けて、教会が地域の人たちの集いの場になれば」と話した。文芸連載小説ふたり-星の降る夜は作/片山恭一画/リン前話のあらすじカンは本に大きな関心を示すようになる。ピノは、トトとハハ同様に不安や期待、寂しさなど複雑な心境でカンの変化を見守っていた。第24話棚田を彩る黄色い花土曜日の朝、パンを買いにきた客の一人がハハに告げた。ホタルを見るのに絶好の場所がある。今夜あたりが見ごろかもしれない。ハハの運転する車にカンとツツとわたしが乗った。トトは宿直で診療所に泊まる日だった。フウちゃんとサユリさんは深夜までホテルでの仕事がある。ツツがたずねた。「ホタルはどうして光るの?」「どうしてだったかなあ」。ハハは思案顔で言った。「いつか聞いたんだけど忘れちゃった」「お尻に超小型のLEDを搭載してるとか」「たぶん違うと思う」「なんのために光るの?」「コミュニケーションのためらしいよ」あたりは暗くなりかけていた。そこは小学校の体験学習で田植えをした棚田だった。梅雨明け間近の田んぼで、稲は順調に育っている。風が吹くと細い葉は波のように揺れた。「ホタルを見るの、はじめて」とツツが言った。「わたしも久しぶり」しかしホタルはなかなか現れなかった。田んぼの奥に植えられた木が暗い影になってそそり立っている。まわりの暗がりよりもいっそう暗く、いまにも何か飛び出してきそうだった。しばらくすると、暗闇のなかに一つ、ほのかな光が浮かび上がった。その数は二つ、三つと増えていく。「ホタル?」。ツツが自信なさそうに言った。黄緑色の小さな光は規則正しく瞬きながら、かすかに吹く風に乗って漂っている。近くに飛んできたのを見ると、たしかに尻のところが光っている。なんとも奇妙な生き物がいたものだ。尻を光らせることで会話をするとは。飛び交うホタルの数はどんどん増えて、いつのまにか棚田一面が点滅する小さな光で覆われている。稲の葉先に一斉に黄色い花が咲いたみたいだった。「こんなにたくさんのホタル、はじめて見た」とハハが言った。ツツは何も言わなかった。あまりの数に圧倒されて言葉を失ったらしい。ただホタルたちの光の乱舞に見とれ、夢見心地になっている。小さな生き物となると、カンはなんでも捕まえないと気が済まない。きっと自分の手で触れて確かめたいのだろう。すぐに首尾よく一匹のホタルを捕まえた。丸めた手をツツの鼻先に差し出した。指の隙間から小さな光が漏れている。その光をそっと彼女の手に移した。ツツは受け取ったものを両手で包み、祈るようにして胸の前にもっていった。「熱くないんだね」。彼女は不思議そうに言った。それから顔を近づけて、指のあいだからなかを覗き込んだ。目を離して指を広げると、ホタルはふわりと浮かび上がり仲間たちのほうへ飛んでいった。文芸小説「ふたり」のバックナンバーはこちらから