“海の資源”の持続可能性 – 視点
さまざまな環境問題が取り沙汰されるなか、海洋環境保護につながる取り組みとして、「ブルーシーフードを積極的に食べる」というものがある。
ブルーシーフードとは、サンマやサバなどの青魚を指すのではない。資源量が比較的豊富な魚種を指す言葉であり、漁獲量が減少している魚を「食べてはいけない」と規制するのではなく、ブルーシーフードを「積極的に食べよう」と推奨するもの。
これに力を入れているのが、アメリカの巨大財閥として知られるロックフェラー家の当主、ロックフェラー・ジュニア氏だ。「セイラーズフォーザシー」という非営利団体を設立し、普及活動を進めている。同団体によると、持続可能な水産物を優先的に消費することで漁業を支援しつつ、枯渇が懸念される水産物の回復を図ることを目的とする。その際、水産資源の保護を漁業者の立場から行うのではなく、消費者が食べることで漁業を応援する取り組みだと説明している。
FAO(国連食糧農業機関)によると、持続可能な水準で漁獲されている水産資源の割合は漸減傾向にある。1974年には90%が持続可能だったのが、2017年には66%にまで落ち込んでいる。
2023年版の日本のブルーシーフードガイドにはホタテ、養殖のブリ、ワカメなど57種類が掲載。一方、ウナギ、タコ、サンマなどは減少しているので、ガイドに掲載されていない。このガイドを参考にしたり、スーパーなどに並ぶ魚がどのように獲られたのか、獲りすぎていないのかを、食べる前に少しでも考えたりすることは、水産資源保護の第一歩につながると思う。
海の資源を見直す視点や、その持続可能な未来を見据えて動く視点を、私たちお道の信仰者は持っているはずだ。たとえば、「元の理」の描写は、生命感にあふれており、多様性を育む“母なる大海”を意味するとも悟れる。
「おふでさき」に「どろうみのなかよりしゆごふをしへかけ それがたん/\さかんなるぞや」(三号16)とある。海の生物の盛況がいつまでも続くように生活することも、そのいのちに感謝してありがたく頂くことも、天の理に適う生き方であると思う。
(永尾)