おやのことば・おやのこころ(2022年4月20日号)
世界は、この葡萄のようになあ、皆、丸い心で、つながり合うて行くのやで。
『稿本天理教教祖伝逸話篇』135「皆丸い心で」
4年前、天理大学の業務でウクライナの首都・キーウを訪れる機会がありました。スラブの古都としての長い歴史を垣間見る街並み、真っ赤な校舎で有名なキーウ国立大学でのミーティング、同国唯一の講社「島ケ原卯来稲集談所」での参拝、かつて留学生として天理に滞在した人々との交流など、平穏な日々が懐かしく思い出されます。
そのウクライナが、2月24日から始まったロシア軍の侵攻で一変しました。連日報道される悲惨で痛ましい映像を目にするたびに、心が痛み、天理に縁のある人々の安否を気づかう日々が、いまも続いています。
その中には天理大の卒業生もいます。ある卒業生の女性は二人の子供と共に国外へ退避してデンマークに辿り着き、友人宅に身を寄せる一方、両親や兄弟は国内に留まり、ロシア軍の攻撃におびえながら生き長らえているそうです。
そんななか、日本政府はウクライナ避難民の受け入れを表明し、動きだしました。地方自治体や企業からは600件を超える支援の申し出が寄せられるなか、天理市は、天理大の協力のもと、天理大の卒業生とその家族の受け入れを決定し、準備を進めています。
ウクライナ避難民の受け入れについては、さまざまな意見がありますが、できることからたすけの手を差し伸べることが、いま求められているのです。
そのためには、世界中の人々が、一れつ兄弟姉妹として、丸い心でつながり合い、たすけ合うことが不可欠です。一日も早い終戦と戦時下の人々のたすかりを祈るばかりです。
(足立)