ヤングケアラーへの支援 – 視点
近年、社会的な課題となっていることの一つにヤングケアラーへの支援がある。ヤングケアラーとは、ケアを要する人が家族にいる場合に、本来は大人が担う家族の世話や介護などを行っている18歳未満の子供のこと。国の実態調査によれば、小学6年生の6.5%、中学2年生の5.7%が家族の世話をしている。病気の親の介護や、親に代わって家事や育児をするなど、年齢に不釣り合いな重いケア負担は、子供が享受すべき教育や同世代の子供との交流の機会を奪い、のちの人生に悪影響を及ぼす恐れもある。
これは家庭内のプライベートな問題であり、本人や家族に自覚がないことも多く、支援が必要だとしても表面化しにくいという。そこで、周囲の大人がヤングケアラーへの意識を高め、必要な支援につながる態勢を整えることが急務である。特に小学生には、周囲の大人がその子の様子の変化や抱えているケアのつらさに気づき、声をかけることが重要になる。
他国に先駆けて支援を行っているイギリスでは、ヤングケアラーが集う場を地域が提供している。そこでは、自分が好きなゲームをしたり、スタッフが企画するワークショップに参加したりしながら、日ごろ抱えるケアの問題について話し合うこともある。時にはキャンプなどにも出かけ、同世代の子供と楽しい時間を共有し、経験を広げることもできる。こうした活動を通じて、信頼できる大人や共感できる同世代との出会いが精神的サポートにつながる(澁谷智子著『ヤングケアラー』)。
コロナ下で活動が制限されているとはいえ、お道の教会には、教えを芯に据えた少年会活動をはじめ、こども食堂など、地域の子供が集う機会と場所がある。こうした活動は、子供のわずかな異変に気づくきっかけにもなる。そこにヤングケアラーという視点を踏まえて子供を見守ることができれば、支援を必要としていても、気づかれにくい多くの子供たちのおたすけにつながるだろう。
(三濱)