馬と触れ合い心を癒やす – 天理大馬術部
春たけなわの陽気に包まれた馬場に、いななきが響き渡る――。
天理高校西山校舎の南側に位置する天理大学馬術部の厩舎。現在の部員は5人で、入部して初めて馬に触れた者がほとんどだ。同部OBで「全日本学生賞典障害飛越競技」3位入賞の経歴がある岡田大監督やコーチらの指導のもと、餌やりや運動、馬房の掃除などの飼育活動を続けている。
同部が所有する馬匹は、芦毛の天樹(ニックネーム=なつめ)と鹿毛の天優(ピノコ)の2頭のサラブレッドと、半血種の鹿毛の牝馬の天紫(シキブ)、芦毛の天天(てん)の4頭。なかでもてんは、同部が近年スタートさせたホースセラピー用として、3年前に迎え入れた若い牝馬のポニーだ。
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同部は2年前、「部でできる社会貢献を」との思いから、JRAの元調教師で一般財団法人「ホースコミュニティ」代表理事を務める角居勝彦さん(鹿島大教会大輪布教所ようぼく)をはじめとする専任コーチを招き、動物介在療法の一つである「ホースセラピー」の取り組みを始めた。
一昨年9月、天理市の不登校児に対する支援活動を行う「天理市不登校等親の会 いなほ」と連携し、小・中学生を対象に家族単位での参加を呼びかけ、第1回「ホースセラピー」を実施。以来、月2回、毎回4、5家族ほどが参加している。
同セラピーでは、比較的体躯が小さく、おとなしいてんやシキブをセラピー馬として運用。角居さんらの監修のもと、参加者が部員や馬とコミュニケーションを取りながら、手入れや馬房掃除、乗馬、餌やりなどの世話をしている。
木下英樹主将(4年)は「セラピーでは、子供への声のかけ方を考えるなど、教える立場としての学びもあり、貴重な体験ができている」と話す。
谷口直子部長は「今後も地域連携を大事にしながら、皆さまに喜んでいただける活動を続けたい」と語った。