「相互理解」につながる一歩に – 天理参考館 第93回企画展「インドのヒンドゥー世界」
2023・7/26号を見る
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駐日インド大使が来訪
天理参考館(橋本道人館長)は、第93回企画展「インドのヒンドゥー世界」を9月4日まで開催している。会期初日(7月12日)のオープニングセレモニーには、シビ・ジョージ駐日インド大使が来訪。テープカットの後、学芸員の説明を聞きながら、展示品を熱心に見学した。また先ごろ、同館がかねて所蔵する仏像3点の希少性が高いことが判明し、同展の開催に合わせて初公開されている。
この企画展では、ヒンドゥーにまつわる幅広い資料を展示。インドの信仰、豊潤な生活文化の一端を垣間見ることができる。
オープニングセレモニーにはシビ・ジョージ駐日インド大使、在大阪・神戸総領事館のニキレーシュ・ギリ総領事が出席。永尾比奈夫・天理大学学長と共にテープカットに臨んだ。
この後、ジョージ駐日大使らは、早坂文吉・同館学芸員の案内で企画展を見学。展示品の説明に熱心に耳を傾けた。
テープカットに先立ち、あいさつに立った橋本館長は「ヒンドゥーの歴史、信仰を正しく知ることが、将来的に互いの文化、信仰に敬意を払う『相互理解』につながると信じている。今回の企画展が、インドと日本を結ぶ懸け橋の一歩となれば」と話した。
また、ジョージ駐日大使は「インドには、世界のさまざまな宗教が共存する多様性と、約5千年の歴史を持つ豊かな文化がある。来館者には、それらインドの魅力を感じ取ってもらえたらうれしい」と笑顔で語った。
参考館所蔵の仏像3点
マトゥラー古彫刻と判明
参考館では先ごろ、かねて所蔵する仏像3点が、仏像発祥の地とされるインド北部・マトゥラーでクシャーン朝2~3世紀に製作されたものと判明した。仏像はそれぞれ、「仏頭」「弥勒菩薩もしくはジナ頭部」「仏坐像」とされ、企画展に合わせ今回初めて公開された。

ウッタル・プラデーシュ州シクリ産と推定
クシャーン朝後期(3世紀)
高さ17.3センチ

ウッタル・プラデーシュ州シクリ産と推定
クシャーン朝(2世紀)
高さ23.3センチ

ウッタル・プラデーシュ州シクリ産と推定
クシャーン朝後期(3世紀)
高さ30.0センチ
同館は3点の仏像を1960年代に入手したが、製作地域や時期は不明だった。今回の企画展開催をきっかけに、仏教美術を専門とする山岸公基・奈良教育大学教授に調査研究を依頼したことで、その希少性が明らかになった。
マトゥラーの古彫刻は、国内に十数点しかないと推測され、日本の仏像の歴史を探るうえで貴重な資料として注目されている。
現在開催中の企画展の様子を見ることができます。