時報俳壇(5月25日号)- ふじもとよしこ選
教祖の口伝ひもとき花むしろ
秋田市 髙橋 重雄
だぶだぶの制服眩し豆の花
京都市 西 加代子
春だいざ地場を目指して四万歩
門真市 傳石 敏治
新しき命や嬉し蕗の薹
天理市 北 をさむ
石垣に藩の刻印鳥交る
東京都 吉田 柳哲
城址に立ち哀史想いて花の風
横浜市 番家 達也
種案山子役目果たして畦の道
鳥取県 野間田芳恵
鳥帰る郵便受けに子の便り
千葉県 樋渡 忍
立毛のはえでづとめや春気配
東京都 坂田 鏡介
春雪の轍おとぎの国へゆく
豊川市 菊地美智代
白布巾縫ひ二十年針供養
札幌市 田森つとむ
初つばめ峡の八軒訪ね来る
名張市 霧道 三明
風容れてきら重ねくる春の水
大津市 平井 紀夫
待ちわびて探す目の先ふきのとう
北九州市 石井喜代美
地場帰り約束をして卒業す
天理市 山田 実
長廊下玻璃の歪みも長閑けしや
近江八幡市 若林 白扇
よもぎつむ母の墓前に餅二つ
水戸市 富田 直子
薄氷を見つけ踏み行く散歩かな
明石市 石田 史枝
花びらの返す光や山桜
二戸市 高屋敷節子
笛の音に舞ひし花びら月次祭
堺市 加藤 恵秋
みかぐらうた湧き立つような春日差し
飯田市 本島 美紀
読みつづく一書のありて春の雪
高崎市 松田セツ子
潔くころりと落ちる椿かな
名古屋市 伊園 三郎
風やわら猪苗代湖に花いかだ
所沢市 三上理恵子
三年ぶりに集いし地場の婦人会
柳井市 冨山 栄子
誕生祭さくら寿ぐ地場の空
宇治市 原 清彦
紅梅がコロナに負けず凜と咲く
大牟田市 田辺 弘
選者詠
百千鳥句作の吾を囃すかに
【評】
髙橋さん
季語の「花筵」は花見の宴席のこと。自宅の庭での花見でしょうか。「教祖の口伝」と「花筵」に共通する心の安らぎを感じます。
西さん
大きめの制服も季語の「豆の花」のように可憐です。花が実となり豆となるように、制服も小さくなりつつ実のある人として成長してゆくのですね。
傳石さん
今の世情に屈することなく、目標に向かって前進! 素晴らしい応援句です。
次回は、7月末までの到着分から選句。投稿は夏の季語(5、6、7月)を用いた俳句3句まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
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