2年連続6度目の”日本一” 日本学校合奏コンクール – 天理高校弦楽部
2023・12/6号を見る
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天理高校弦楽部(新誠一部長)は11月5日、福島県郡山市のけんしん郡山文化センターで開催された第12回「日本学校合奏コンクール2023全国大会」(主催=同委員会、後援=文化庁ほか)ソロ&アンサンブルコンテスト高等学校の部に出場し、第1位相当の「文部科学大臣賞」に輝いた。同賞の受賞は2年連続6度目。
この大会は、児童の音楽性と演奏力を高めるとともに、豊かな情操と人間性を育むことを目的に開かれているもの。自由な楽器編成で出場できる国内唯一のコンクールだ。
同部は8年前、天理教音楽研究会「弦楽教室」に通う4人の部員がカルテットを組んで同大会に初挑戦し、「文部科学大臣賞」を受賞。以後、弦楽合奏での出場を重ねてきた。
今回披露したのは、小説家・芥川龍之介の三男、芥川也寸志作曲『弦楽のための三楽章』の第一および第三楽章。なかでも第三楽章は、日本の祭囃子の太鼓を思わせる独特の技法や拍子が多く用いられる難曲。また、完成度の高い曲としても知られており、音楽を志す者にとって”憧れの曲”という。
上田真紀郎コーチ(46歳)は「コンクール本番では指揮者を置くことはできないが、この曲は変拍子を多用するため、仮に指揮者がいても調和の取れた演奏をするのは難しい。それでも今年の部員なら、きっとやり遂げてくれると思った」と、課題曲に選んだ理由を語る。
今夏、部内オーディションが行われ、大会に出場する20人の代表メンバーを選出。その後、5人ずつグループを組んで互いに評価し合う「グループ練習」を実施するとともに、メンバー同士で大会に向けての意識のすり合わせを繰り返すなど、「1位受賞」を目指して団結力を強めてきた。
審査員から高い評価
当日、高校の部には全国各地から予選を通過した14校が出場。部員たちは本番直前におぢばを遙拝した後、ステージへ。
第一楽章は、全パートが同じメロディーを演奏する「ユニゾン」で始まる。メンバーたちは、呼吸の合った躍動感溢れる旋律を奏でた。
第三楽章では、アンサンブルによる緩急入り混じった多彩な表現を披露し、終盤は、再び息の合った「ユニゾン」で演奏を締めくくった。
講評では、プロ奏者や音楽大学の指導者から成る審査員から「迫力あるサウンド」「音楽的な統一感があり感心した」「各奏者の技量も素晴らしい」などの高い評価を受け、100点満点中96点を獲得。その結果、同校は6年連続となる「金賞」受賞に加え、1位相当の「文部科学大臣賞」にも2年連続で輝いた。
コンサートマスターを務めた岩本理来さん(2年・バイオリン)は、「高校から弦楽を始めたメンバーが多い中で、あまりの曲の難しさに、練習中、何度も心が折れそうになった。それでも目指すところまで努力を続けた結果、本番では一番良い演奏ができた。これからも、人に喜んでもらえる演奏をお届けしたい」と語った。