水を飲めない子供がいる – 視点
2024・3/13号を見る
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ユニセフ(国連児童基金)によれば、世界人口の半数以上が水道を使える現在でも、なお6億6千300万人もの人々が遠くの池や川、湖、未整備の井戸などから水を汲んでいるという。
たとえばサハラ砂漠以南のアフリカ諸国では、330万人を超える子供が水汲みに大半の時間を費やし、学校へ通う時間や体力も残されていない。また、やっとの思いで手に入れた水も飲料用としては適さず、浄水処理をせずに飲むことで命を落とす乳幼児が年間30万人、毎日800人以上に上ると明らかにしている。
一方、水道水をそのまま飲める数少ない国の一つである日本において、水を飲めない子供が増えているとの報道があった。複数の幼稚園や小学校での聞き取り調査で、水道水やミネラルウォーターなどの「味のない水」や「冷たくない水」を飲めない子供たちが増加傾向にあるというのだ。なかには、熱中症の疑いで保健室を利用しても、コップに汲んだ水を飲めない場合もあるらしい。
背景には、コロナ禍で校内の冷水器や水道水が飲めなくなったことや、熱中症対策としてのスポーツドリンクの推奨など、価値観の変化や水分補給の選択肢が広がったことがあると見られている。
しかし、どれほど水分補給の方法が多様化しても、やはり生命維持の根本は水である。災害などの非常時に水が飲めないと命に関わる。水ジャーナリストの橋本淳司氏は「水を飲めるようになるのは、家族が一緒に水を飲むということが大切」だと指摘する。子供は親の行動を見て、同じことができるように育つからだろう。
教祖は「水を飲めば水の味がする」と、どんな中でも親神様の大いなるご守護に感謝して通ることを教えられている。お道を通るお互いは、単に水を飲めるように子供を育てるだけではなく、「水が飲める」ということは決して当たり前ではなく、ご守護の賜物と感謝できる心も育みたい。そのためにも、日々のご守護に感謝する心の成人が親に求められる。
(三濱)