感謝の思い 地域に映して – 立教187年 全教一斉ひのきしんデー
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教祖140年祭へ向かう三年千日2年目の、立教187年「全教一斉ひのきしんデー」。当日は低気圧が日本列島の西から東へ徐々に移動した影響で、西日本では雨が降った地域があったものの、東日本では晴天となった。各地の海岸、公園、公共施設などに集まった教友たちは、報恩感謝の思いを胸に、ひのきしんの態度を地域に映した。
“名峰・富士”望む砂浜を美化
静岡・東駿支部
静岡教区東駿支部(山梨正治支部長)は、静岡市清水区にある「三保真崎海水浴場」で実動。168人が参加した。
三保真崎海水浴場は、新日本三景の一つ「三保の松原」を有する三保半島の突端にある海水浴場。名峰・富士を一望しながら海水浴を楽しめることから、行楽シーズンには観光客でにぎわう人気スポットだ。
同支部では、支部青年会が毎月第1日曜日に清水区内の「清水清見潟公園」で清掃ひのきしんを行っている。また、支部婦人会は、支部内の施設で除草ひのきしんを毎月続けている。さらに昨年10月からは、教祖140年祭に向けた支部独自の取り組みとして、毎月の支部例会後に神名流しと路傍講演を行っている。
「デー」では、30年以上にわたり同海水浴場を定例の会場としてきた。
穏やかな好天となった当日。午前9時、ひのきしんスタート。参加者は、砂浜のプラスチック片や漂着ごみを一つひとつ丁寧に拾い集めていく。ごみ袋に入らない枯れ木は、のこぎりで細かく切断して回収。約1時間半の作業で、約250袋分のごみを回収した。
夫婦で参加した石川公彦さん(59歳・東小島分教会ようぼく・静岡市)は「普段は働いているので、教友と共に実動する機会は少ない。その分、今日は楽しくひのきしんをさせていただいた。妻と『ひのきしんって、いいね』と言いながら心地良い汗を流すことができた」と笑顔を見せた。
山梨支部長(74歳・倉澤分教会長)は「“ひのきしん日和”ともいえる晴天のご守護を頂き、多くの教友と実動させていただいた。年祭活動の旬に、支部活動を通じて、地域の若い人たちと横のつながりをさらに強めていきたい」と話した。
市民の憩いの場で91回継続
和歌山・和歌山市西、同東、同北支部
白亜の天守閣の周囲で、大勢の教友がひのきしんに勤しむ――。
和歌山市の和歌山城公園では、和歌山市西(藤田泰三支部長)、同東(髙野道忠支部長)、同北(松山慎哉支部長)の3支部が清掃を実施、670人が参加した。
同公園でのひのきしんは、「全国一斉ひのきしんデー」が提唱された昭和7年から継続され、今年で91回を数える。この息長い活動は、行政の厚い信頼を得ており、清掃道具の貸し出しやテント設営などが毎年行われるほか、自衛隊による除草が実施される際にも、要請を受けて教友が作業に協力している。
各支部では、常時活動も活発に展開。その一つ、和歌山市西支部では月に一度、南海電鉄和歌山市駅前で路傍講演や神名流しなどを実施。毎回10人ほどの参加者が集まる。
午前8時半、作業開始に当たり、尾花正啓・和歌山市長のメッセージを、本田雅彦・和歌山市産業交流局長(58歳)が代読。「90年以上の長きにわたって、ひのきしん活動として和歌山城一帯の大規模な清掃奉仕を継続してくださっていることに、深く感謝申し上げたい」と述べた。
この後、参加者は鎌や熊手、ごみ袋などを手に、支部ごとに振り分けられた場所で作業開始。6万2000坪もの広大な公園内の各所で、除草や落ち葉掃きなどに汗を流した。
軍手を着け丹念に除草しているのは和田文子さん(73歳・和深分教会教人・和歌山市)。今年、同公園でのひのきしんデーへの参加が半世紀を迎えたという。普段からにをいがけ・おたすけにも励んでいる和田さんは、教祖140年祭に向けて、「これまで出会ってきた教友の皆さんと共に、成人した姿で教祖にお喜びいただく」ことを目標に掲げる。
和田さんは「支部の方々と顔を合わせて、ひのきしんをすることができて、勇み心を頂いた。これからも、ひのきしん、にをいがけ・おたすけと、神様の御用をしっかりとつとめていきたい」と話した。
会場責任者の藤田支部長(52歳・紀西分教会長)は、「市民の“憩いの場”として親しみのある和歌山城公園で、管内の皆さんが和気あいあいと清掃に取り組む姿を見て、うれしく思う。これからも、多くの教友の参加を得て継続していけるよう、支部活動に参加しやすい環境を整えていきたい」と話した。
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この日、同会場では献血も行われ、200ml2人、400ml25人の協力があった。
被災地の海岸で122人が清掃
石川・金沢支部
「令和6年能登半島地震」から4カ月近くが経過した。石川教区管内では、多くの教会が被災したほか、避難生活を余儀なくされている教友も少なくない。
石川教区金沢支部(龍湖亮一支部長)は、管内の一部地域で震度5強を観測。被災状況に鑑み、一時は「デー」の中止を検討したが、「地震の影響で、やむなく『ひのきしんデー』に参加することができない能登の教友の分も、ひのきしんをさせてもらおう」と実施を決定。40年前から「デー」の会場にしている高松北部海水浴場(かほく市)でのひのきしんに向け、案内チラシを配布するなど、可能な限り参加を呼びかけてきた。
迎えた当日。朝から快晴となった会場の砂浜に122人の教友が参集した。参加者は、ごみ袋を手に、散乱した流木やペットボトルなどを隈なく拾い集めた。大きな漂流物などは数人がかりで引き上げ、運んだ。
参加者の一人、剣村英樹さん(60歳・誠中分教会ようぼく・かほく市)は、元日の地震で地盤沈下の影響を受け、自宅が被災。現在も建物が傾いており、改修のめどは立っていない。そんななか、「少しでもひのきしんをさせていただきたい」との思いで会場に駆けつけたという。
剣村さんは「自宅周辺の住宅も復旧が進んでおらず、先行きの見えない状況に不安もあるが、『ひのきしんデー』に参加し、支部の教友と顔を合わせることができてほっとしている。親神様・教祖に喜んでいただけるよう、精いっぱいひのきしんをさせていただいた」と話した。
龍湖支部長(62歳・袖龍分教会長)は「今年は元日の地震の影響もあり、参加者は少ないかもしれないと思っていたが、予想以上に多くの方が参加してくださり、有り難かった。今後も被災地の支援に注力するとともに、教祖140年祭に向けて、支部の教友がさらに団結できるよう心を尽くしていきたい」と話した。
「一斉活動日」への参加呼びかけ
東京・練馬支部
東京教区練馬支部(中嶋理一支部長)の教友は、東京都練馬区の「光が丘公園」で清掃作業に取り組んだ。
都心へのアクセスが良く、23区で2番目に人口が多い同区。その中心に位置する公園は、緑豊かで各種スポーツ施設を備える総合公園として、昭和56年の開園以来、区民の憩いの場として親しまれてきた。
昭和60年から同公園を会場に「デー」を継続してきた。支部の常時活動としては、JR練馬駅周辺でメッセージボードを活用した布教や清掃活動を毎月実施。また、支部婦人会から成る「リボンの会」が、同じ地域の若い母親などを誘って定期的に地域でごみ拾いをしたり、フリーマーケットを開いたりして親睦を深めるなど、支部の諸行事を通じて地域のネットワークづくりに力を入れている。
最高気温が25度を超えたこの日、209人の教友が公園に参集した。
受付では、6月に実施される第2回「ようぼく一斉活動日」などの情報を掲載した支部報が、参加者一人ひとりに手渡された。これは、一人でも多くの教友に「活動日」に参加してもらえるよう、本来は月初めに発行している支部報を、「デー」に合わせ発行日を前倒して用意したもの。
参加者たちは、ビニール袋と火ばさみを手に、園内各所でペットボトルや紙くずなどを拾い集めた。
中嶋支部長(56歳・豊喜分教会長)は「大勢の教友の皆さんの丹念なひのきしんが、公園の利用者へのにをいがけにもつながったのではと感じている。今回の参加者が、一人でも多く6月の『ようぼく一斉活動日』にも参加してくださることを期待したい。これからも教祖140年祭に向け、地域に根差した活動に一層注力していく」と話した。
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この日、同会場内では献血も行われ、200ml2人、400ml64人の協力があった。
厚い信頼寄せられる福祉施設で
福岡・遠賀支部
福岡教区遠賀支部(牧野伸司支部長)は、福岡県芦屋町の障がい福祉サービス事業所「みどり園」で清掃作業に取り組んだ。
平成16年、支部青年会による「ハートクリーンキャンペーン」をきっかけに同園での清掃活動を始めた。今年で20年の節目を迎える活動に、施設の信頼は厚い。
「デー」当日、朝から大雨となった九州地方。午前10時、春の雨が降るなか、同支部の教友129人が参集。施設内の床や窓を丁寧に拭き上げたほか、高所にある空調設備や換気扇などの清掃も行った。
2023年から「デー」に参加している永田理さん(46歳・龍賀分教会ようぼく・中間市)は「一生懸命にひのきしんに励む皆さんの姿に、元気をもらった。教祖140年祭に向け、自分にできる実動に勇んで取り組みたい」と話した。