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そのぢばハせかい一れつとこまても
これハにほんのこきよなるぞや
「おふでさき」十七号8
先日、女性ようぼくMさんに会うために長崎県佐世保市を訪れました。
御年90歳のMさんは、福岡に住んでいた際に入信して以来、長らく教会へ足を運んでくださいました。認知症が進行したのを機に故郷の佐世保へ戻り、現在は施設に入所されています。
久しぶりに面会したMさんはお元気そうで、ひと安心しましたが、思い出話をしても記憶にムラがあるのか、なかなか会話が長続きしません。
ふと「Iさんのことは覚えていませんか?」と尋ねると、にわかに表情が明るくなりました。二人は同い年で、ちょうど10年前に修養生活を共にした仲です。当初、修養科志願を迷っていたMさんが、Iさんの「私も一緒に行くから」との声に背中を押されて決心した日を、昨日のことのように思い出します。当時の写真を見せると、Mさんは「あの人とは、よくけんかもしたわね」と笑い、親里で過ごした遠い日のことを懐かしそうに振り返っていました。
帰途、九十九島を望む展望台へ立ち寄りました。菜の花畑を抜けて長い階段を上ると、眼前に多島海のパノラマが広がっています。
点々と浮かぶ島々が海の下では地続きになっているように、いまは離れて住むMさんの心も、人類の故郷で過ごした3カ月の思い出とともに、おぢばや教会と確かにつながっているように感じられて、とてもうれしく、ありがたい気持ちになりました。
(榊)