本の売上と著者印税から計200万円寄付-片山恭一著『馬をたすけ 人をたすけ』
2024・5/8号を見る
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奥能登復興の一助にと
道友社は先ごろ、JRA(日本中央競馬会)で長く調教師を務め、“競馬界のレジェンド”と称された角居勝彦氏(60歳・鹿島大教会大輪布教所教人)の“セカンドライフ”に密着取材したドキュメンタリー『馬をたすけ 人をたすけ』(片山恭一著)を刊行した。上梓に際し、角居氏が奥能登を拠点に進めている、引退競走馬を活用した先駆的な取り組みを後押しするべく、氏が代表理事を務める一般財団法人「ホースコミュニティ」に本書の売上の一部を寄付することを決定。4月25日、著者である片山氏からも初版印税からの寄付金が寄託され、これを合わせた2件の目録を、諸井道隆・道友社長が角居氏にそれぞれ手渡した。
本書は、角居氏が調教師を退いた後、布教師として人々に寄り添いつつ、奥能登で引退競走馬の支援やホースセラピー(動物療法の一つ)の普及促進に取り組む姿を精力的に取材し書き下ろしたもの。
刊行を控えた今年の元日、能登半島地震が発生。角居氏が珠洲市で主宰する「珠洲ホースパーク」でも少なからず被害が出た。復興への課題が山積するなか、角居氏は布教師としての務めと併行して、引退馬を活用した復興支援にも着手。ホースセラピーを通じての被災者支援を計画するなど、〝いま自分にできること〟に精力的に取り組んでいる。
これに先立ち、道友社では角居氏が主導するプロジェクト「サンクスホースプラットフォーム」の主旨に賛同し、その活動のバックアップを目的として、一般財団法人「ホースコミュニティ」に本書の売上から100万円を寄付することを事前決定していた。
一方、著者の片山氏は取材を続けるなか、角居氏の人柄とその取り組みに感銘を受けたとして、片山氏から初版印税のほぼ全額に当たる100万円を同法人へ寄付したいとの申し出がなされた。4月25日、諸井道友社長が角居氏に、2件分の寄付金の目録をそれぞれ手渡した。
角居氏は編集部の取材に対し、次のようにコメントした。「『馬をたすけ 人をたすけ』というタイトルに、いま『地域をたすけ』という命題が新たに加わったと感じている。復興へ向かうには、瓦礫を撤去する作業だけではなく、被災者が未来に夢や希望を持てるようにサポートしていく必要があると思う。その糸口として、もともと限界集落の多い能登地方に、馬を活用して地元の若者たちの働き場をつくるという新たな取り組みを構想している。頂いた寄付金が、被災地に希望を生む〝一粒の種〟となるよう力を尽くしたい」
片山氏コメント – 応援の気持ちで
今回取材を重ねるごとに、角居さんたちの活動への共感が深まっていきました。特に感銘を受けたのは、角居さんの考え方が自立していることです。人々の善意のみに頼らず、ビジネスとして持続可能な仕組みをつくろうとしている。やはり調教師として長く競走馬の世界で生きてこられた人だなと感じました。そんな折も折、角居さんたちの活動拠点である能登半島で大きな地震が起こりました。応援の気持ちをかたちにしたいと思い、些少の寄付をさせていただくことにしました。