当たり前への感謝を忘れず – 修養科の四季
2024・5/29号を見る
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第990期 林 裕さん
41歳・茨城県土浦市・奉浜分教会所属
信仰熱心な家庭で育ち、職場では心優しい上司や先輩たちに恵まれるなど、順風満帆な生活を送っていた。そんななか、母が「別席を運びなさい」と口うるさく言うのが疎ましく、お道との関わりを絶っていた。
4年前、異動で業績トップの部署へ。仕事に追われてミスが重なり、上司から叱責されるうちに、ストレスで眠れない日が続くようになった。
ある日、会社へ向かおうとすると、激しい動悸と吐き気に襲われ、自宅から一歩も出られなくなった。そして2023年11月、休職して実家に戻ることになった。
しばらく経ったころ、母に誘われ所属教会の月次祭に参拝した。そのとき、私と同様に精神的な身上を抱える人に出会い、「修養生活で症状が改善した」と聞いた。また、上級の会長さんの神殿講話で「船が進むためには風を受ける帆が要るように、まずは心定めという帆を張ることが必要。そうすれば、教祖のお導きという風を受けて、必ず目的地である陽気ぐらしへと運んでくださる」という話が印象に残った。心を動かされた私は「現状から一歩でも前へ進めるように修養科を志願しよう」と心に決め、親里の土を踏んだ。
「自分本位の視点」を変える
昨年12月、人前に出ると動悸が激しくなる状態のまま修養生活がスタート。教えを学び直すうちに、これまでは仕事が思い通りに進んでいたこともあり、いつの間にか「自分一人で生きていける」と勘違いをして、心がほこりにまみれていたことに気づかされた。
そんななか、その日にあった〝気づき〟を詰所で発表する「ひとこと話」の時間が設けられた。専修科生のAさんは、この日のうれしかった出来事を紹介し、「当たり前のことが当たり前じゃなくなったとき、心を動かされがちだが、当たり前のことに感謝し、喜べるようになれたら毎日が幸せだと思う」と話した。
この話を聞いて、これまで上司や後輩、そして私の無事を願い、陰で支えてくれていた両親に感謝の思いを持てていなかったことを反省した。そして、これからは「自分本位の視点」で物事を見るのではなく、日常の〝当たり前〟に喜びを見いだしていこうという思いを強くした。
以後、日常生活で有り難いと思えることが増えていき、ひのきしんも喜び勇んで取り組むことができた。また、相手の良い部分にも目を向けるようになり、やがて修養科の先生やクラスメートと面と向かって話すことができるようになった。
3カ月目には、自ら人前で話せるまでに心が回復。親神様・教祖はもちろん、両親をはじめ支えてくださったすべての人への感謝の気持ちが湧いてきた。今後はしっかりとお道に心をつなぎ、親神様・教祖の思召に沿っていけるようぼくを目指そうと心に誓った。
◇
修了後、あらためて両親に感謝の言葉を伝え、初めておさづけを取り次いだ。そして、以前勤めていた会社に復職し、仕事を再開。慌ただしい毎日に戻ったが、休日には本部神殿で参拝するなどして、おぢばに心をつないでいる。
これからは、お道の教えを胸に、感謝の心を忘れず、どんな小さなことにも喜びを感じて人生を歩んでいきたい。そして今度は、悩みを抱えている人を自分がたすけていきたい。