お米といえば「コシヒカリ」だったが… – 陽のあたる方へ2
2024・5/29号を見る
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今年の田植えから、富山や茨城など17県で「コシヒカリ」の栽培を減らすことになったそうです。理由は、近年の猛暑によりお米の出来が悪くなってきたので、暑さに強い品種へと切り替えるため。コシヒカリといえば美味しいお米として有名ですが、地球温暖化の波はお米の栽培にも大きな影響を及ぼしているようです。さらに、2100年には、新潟県がバナナの産地になるという驚きの予測も!
日本の農業の行く末が心配です。同様に世界でも、米や小麦の収穫量の減少による食糧問題が懸念されています。
普段、大学院で蓄電池、クリーンエネルギーについて研究する中で、地球温暖化や気候変動に関する最新情報にふれる機会が多くあります。地球は着実に温暖化しており、世界各地で自然災害が多発化、甚大化していること、その原因が人間の生活・経済活動、すなわち石油などの化石燃料の燃焼によることは疑いのない事実です。過去およそ100年の「私たち自身の生活が原因」なのです。
地球温暖化は今後、「世界各地で多くの自然災害の発生と、食糧・水の不足をもたらし、食料や水資源を巡る争いを生み出し、さらには伝染病の大流行(パンデミック)や人の住めない地域を拡大させ、よって多くの難民が発生する可能性が高い」とされ、その難民の規模は10億人にも及ぶといわれています(2018年「ランセット・カウントダウン報告書」)。
この現状を、私たちはどう捉え、どんな日々を過ごせばいいのでしょうか。また、子供たちに、どのような地球の姿をバトンタッチできるのでしょうか。
「おふでさき」に「めへ/\にいまさいよくばよき事と をもふ心ハみなちがうでな」(三号33)「たん/\となに事にてもこのよふわ 神のからだやしやんしてみよ」(同40)とあります。
この先10年、20年の生き方が地球の姿を左右する――その瀬戸際に私たちはいます。今まさに生き方の変革、意識のイノベーションが求められているのです。まずは二酸化炭素を出さない日々の暮らしについて家族で話し合うことが、私たちにできることだと思います。
乾 直樹(京都大学大学院特定教授・大阪分教会正純布教所長後継者)