“道の心理臨床家”育成への期待 – 人と関わる知恵
立教180年4月から続けてきたエッセーですが、今回が最終回です。
連載中には、多くの方々から「参考にしています」「勉強になりました」などと声をかけていただきました。記事を切り抜いて保存してくださっている方もいました。
また、教内の各種講座・研修会の講師としてお声がけを頂くこともたびたびありました。皆さまの心理学やカウンセリングに対する関心の高さから、この分野の重要性をあらためて強く感じました。『天理時報』での連載はこれで終わりですが、これからも”道の心理臨床家”としての役目をしっかりと果たしていきたいと考えています。
道の心理臨床家とは、天理教信仰者で心理相談に携わる者のことです。教祖130年祭が勤められた年に開催された「道の心理臨床家の集い」には、50人を超える参加がありました。
現在、これほど道の心理臨床家が活躍しているのは、天理大学臨床心理専攻の大きな成果です。私もそこで育ててもらいました。そしていま、私は天理大学で後進を指導しています。心理学やカウンセリングを学べる大学はたくさんありますが、これを徳分として、おたすけやひのきしんに励む人材の育成に携われるのは、天理大学だけです。
これから私が成すべきことは、次代を担う道の心理臨床家を育てることだと思っています。その一環として、天理大学で心理学を学ぶ大学生や大学院生と共に”道の心理臨床家・学生部会”を立ち上げました。天理教内の関連団体と連携し、保健医療、福祉、教育等の現場の心理職として、あるいは教会長、布教師として活躍する先輩たちとも交流しながら、天理教の信仰者ならではの心理的支援について学んでいます。
また、次世代の育成という点では、この分野に関心を持つ中学生や高校生が増えることを期待しています。中高生の皆さん、私たちと一緒に心理学を学びませんか。志ある若者と、おぢばの学校で学び合う日を楽しみにしています。
最後は”人と関わる知恵”というよりも、私の将来展望のような内容になってしまいましたが、最終回ということでご容赦ください。およそ5年半にわたってお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
(終)