“50度を超える世界”に思う – 陽のあたる方へ5
2024・9/11号を見る
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今夏は全国各地で最高気温が35度を超える「猛暑日」が続いています。年間猛暑日の日数は、昨年記録された群馬県桐生市の計46日が歴代1位でしたが、今年は福岡県太宰府市で計46日(3日現在)を数え、記録の更新が予想されます。もはや「観測史上最高」という言葉に接することは当たり前になりました。
このような傾向は世界各地で起こっています。インドでは、ついに“50度を超える世界”に突入したと報じられています(日経リスクインサイト2024年7月16日配信)。また2021年のBBC(英国放送協会)の分析では、世界で50度を超す日数が過去40年間で2倍に増加。原因は、化石燃料の燃焼がもたらす二酸化炭素などの温室効果ガスの排出だと述べています。
“50度を超える世界”は、人々の健康や暮らし、生業、産業、経済に、どのような影響があるのでしょう。
熱中症の増加、農業や建設業など屋外労働者の労働時間の減少と収入減、干ばつや収量減少による農業への甚大な打撃と食糧不足、熱波、森林火災、電力需要の増大による電力不足、さらなる温室効果ガスの発生加速など、ぞっとする世界が迫ってきています。
「おふでさき」に「このよふのぢいと天とハぢつのをや それよりでけたにんけんである」(十号54)とあります。また「みかぐらうた」には「よくにきりないどろみづや こゝろすみきれごくらくや」(十下り目四ッ)、「なにかよろづのたすけあい むねのうちよりしあんせよ」(四下り目七ッ)とあります。
環境問題は解決が難しく、自分が努力した分だけ利益となって返ってくるものではありません。また、すぐに成果が見えるものでもありません。「幸福になりたい」「豊かになりたい」というのは、世界中の人々に共通の願いだと思いますが、「われさえ良くば、今さえ良くば」の心づかいが積もり重なって、こうした事態になっていると思案します。
天地や人間、万物を創造し、火水風のご守護をお与えくださった親神様に感謝し、「感謝 慎み たすけあい」の心で、志を同じくする人が集まり、たすけ合いながら、小さなことからでもコツコツと、「地球にやさしい行動」を心がけたいと思います。
乾 直樹(京都大学大学院特定教授・大阪分教会正純布教所長後継者)