三輪山と神々の酒宴 – 山の辺の道 心の景
「この神酒は 我が神酒ならず 倭なす 大物主の 醸みし神酒 幾久 幾久」
古来「神宿る山」として崇められてきた三輪山。この山に鎮まる大物主は、国造りの神であり、あらゆるものづくりの神でもあるという。その一つに酒造りがある。
冒頭の歌は、杜氏の祖先とされる高橋邑の活日が詠んだもの。活日は、第10代崇神天皇から大物主に捧げる御酒造りを任され、一夜にして美酒を醸した。その後、祭りの酒宴で、この歌を天皇に捧げた。――この神酒は私が造った神酒ではなく、倭の国をお造りになった大物主が醸されたお酒です。幾世までも久しく栄えませ、栄えませ――神々の酒宴は夜通し続いたという。
この写真は、ある冬の朝の三輪山。朝霧が漂う幻想的な雰囲気のなか、時間が止まったような感覚に陥った。ふと、霧のなかから、夜が明けても宴を続ける神々の笑い声が聞こえてきそうな気がした。
(J)
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