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人と違っていいじゃない! 自分を信じて前へ進もう – 鈴木大地 初代スポーツ庁長官


1988年のソウル五輪で、日本水泳界16年ぶりとなる金メダルを獲得した鈴木大地さん。引退後は、初代スポーツ庁長官として日本のスポーツ環境の整備に尽力。昨年の東京オリンピック・パラリンピック開催の下地づくりに奔走しました。

「すきっとした気分で暮らすために」をコンセプトに、さまざまな分野の第一線で活躍する人々の生き方・考え方を紹介する雑誌『すきっと』の最新号から、そんな鈴木大地さんへのインタビューの一部を紹介します。

すきっと Vol.38 ターニングポイント

私に水泳の手ほどきをしてくれたコーチも、オリンピックで金メダルを取ったときのコーチも、その後出会った方々からも、いろいろ学ばせていただきました。それぞれ指導のタイプは違いますが、皆さんからたくさんの影響を受けて、いまの自分があるのだと思います。

大切なのは、何か言われたときに「あっ、これは自分にいま必要なことだ」と気づく準備をしておくこと。そのために、常に素直な心でいるということ――。謙虚に学ぼうとする姿勢が必要だと思います。

私は高校三年生のときにロサンゼルスオリンピックに出場したのですが、思うような結果は出せませんでした。けれども、これからもっと鍛えれば、世界で戦えるかもしれないという手応えを自分なりに感じました。それが「ソウルでメダルを取る」という言葉になったのだと思います。

周囲からは「日本選手は十年以上、メダルが取れていないのに、そんなの無理だ」という声もありました。でも、そこに合わせちゃダメですよね。自分は自分だし、自分の見てきたこと、考えてきたこと、感じてきたことを信じて判断し、目標に向かっていくべきです。自分の気持ちを世の中の声に合わせなかったのが良かったのだと思います。

スポーツ庁に五年いて、いろんな仕事をしてきましたが、記憶に残っているのは、地方へ行って自然と戯れるアウトドアスポーツでした。海で泳いだり、山を走ったり、大自然の中で自転車に乗ったり。これは東京が逆立ちしても敵いません。

スポーツというと、金メダルを何個取るのかという話になってしまいますが、競技スポーツだけではなく、普通の子供たちが公園を走り回るとか、飼い犬と散歩するとか、これも立派なスポーツです。皆さんが身近に手軽にスポーツに親しんで、もっともっと健康を維持してもらえるように進められたらと思っています。これはスポーツ界にとっても大切なミッションですね。


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