天理時報オンライン

基本は本人の力を信じること – 心に効くおはなし


子供の問題で、いま深刻な不登校。カウンセリングでは、プレイセラピーといって、遊びを通して治療します。とにかく、子供と一緒に遊ぶことが大切なのです。

基本は、子供を信じること。みんな自分自身で解決していく力、自己治癒力を持っている。そう信じるから、一年でも二年でも待てるのです。

私たちの仕事は、迷路にいる子供が道を見つけられるような、ゆったりした時間を持つために、周りの障害を取り除くことなのです。親がどれだけ子供を信じきり、ありのままを受け入れられるか、です。

不登校の子供たちは、いまは寝ているけれども、十分に寝た子ほど、あとで大きな仕事をします。一時そういう問題で苦しんだ子が立ち直ったあとは、実際にすごい働きをしています。解決したケースのほとんどは、子供の学校の成績や社会へのこだわりから親自身がふっきれたとき、不思議にも、子供は自然に学校へ行くようになるのです。「三年寝太郎」という民話があります。ぐうたらで寝てばかりの少年が、三年目にむっくと起き上がり、誰もできない大仕事をやってのける話です。この昔話はまさに核心をついています。

現代は情報化社会。一日寝ただけで取り残されるような強迫観念に取りつかれてしまいますが、過大に意識しているだけです。もっと感受性の豊かな子供の宇宙を、一緒に遊泳するようなゆとりを持ちたいものです。

『こころを聴く 寄り添うカウンセリング』

堀尾治代著(天理大学教授、臨床心理士)

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