年祭活動3年目“教えの実践”の一助に – 布教部社会福祉課の各種講習会を活用して
2025・2/26号を見る
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教祖140年祭へ向かう三年千日の締めくくりの年を迎えるなか、各地の教友たちは、それぞれが定めた目標に向かって教えの実践に励んでいる。こうしたなか、この旬に一歩でも成人した姿を目指そうと、布教部社会福祉課(橋本武長課長)主催の点訳、音訳、手話通訳の各ひのきしん者を養成する講習会などを受講する教友も少なくない。ここでは、同課の各種講習会などを通じて、障害のある人のおたすけやひのきしんに取り組む教友たちの声を紹介する。
布教部社会福祉課では長年、点訳、音訳、手話通訳の各ひのきしん者を養成する講習会や勉強会を開催している。
同課が所管する「天理教点字文庫」では、点字図書製作に携わる点訳ひのきしん者を養成することを目的に、「点訳ひのきしん者養成講習会」が年1回開催されている。また、同講習会初級コースが随時開かれているほか、同講習会初級フォローアップと「オンライン点訳勉強会」、「点訳サロン」が毎月持たれている。さらに、講習会の受講者に対して「点字通信教育」も行われている。
一方、「音訳ひのきしん者養成講習会」は、同文庫の録音図書製作に携わる音訳ひのきしん者の養成を目的に、初級・中級・フォローアップが年2回、それぞれ開催されている。このほか、講習会の受講者を対象に「音訳ひのきしん者勉強会」が毎月実施されている。
また、教内の聴覚障害者からの通訳依頼に応える手話通訳ひのきしん者の養成を目的に、「手話通訳ひのきしん者養成講習会」が年2回開催されている。このほか、同講習会のフォローアップと、当事者と交流する場として「手話サロン」が毎月開かれている。
技術以外にも学び得て
天理市在住の髙橋ひろみさん(55歳・船三咲分教会教人)は、教祖140年祭に向けた年祭活動として「手話通訳ひのきしん者養成講習会」と「点訳ひのきしん者養成講習会」を受講している。
3年前、定期健診の際に医師から「乳がんの疑いがある」と告げられた。その後、すぐに本部神殿で参拝し、以前から興味があった点訳、音訳、手話通訳の各講習会を受講する心を定めた。
同年、「手話通訳ひのきしん者養成講習会」を受講。一昨年からは「点訳ひのきしん者養成講習会」を受講している。講習会では、技術的な学び以外にも、当事者が抱える実際の悩みを知れることが有り難いと髙橋さんは話す。
また、講習会の受講を心定めしてから約1年半後、乳がんの疑いがなくなったという。
三年千日の残りの期間に、「音訳ひのきしん者養成講習会」も受講したいと意気込む髙橋さんは「年祭に向けて、おぢばに帰参する人も多くなると思うので、神苑で困っている当事者を見かけたら、講習会で学んだことを生かし、率先して手を差し伸べたい」と話している。
講師として重要性伝え
北海道で音訳ひのきしんを続ける大藤美音さん(61歳・周陽分教会ようぼく・江別市)は11年前、本紙に掲載された「音訳ひのきしん者養成講習会」の案内に興味を持ち、講習会を受講。その後、同文庫の音訳ひのきしんに携わるようになり、10年にわたって本紙や『みちのとも』、『すきっと』などの音訳、校正作業を続けている。
昨年、音訳研究室の室員になり、来月に開催される講習会では、初めて講師を務める大藤さん。受講者が視覚障害者について理解を深めるとともに、音訳の際の発声やアクセント、朗読との違いなど、基礎から詳しく学ぶことができるよう、入念に準備を進めているという。
大藤さんは「教内外を問わず、音訳の存在を知らない人は少なくない。今後も、ひのきしんを通じて、音訳の重要性を一人でも多くの人に伝えていきたい」と語った。
寄り添う手段を求めて
15、16の両日に実施された「手話通訳ひのきしん者養成講習会」では、田邊規子さん(59歳・同慶分教会教人・天理市)が初めて受講した。
田邊さんは中学生のとき、突発性難聴を発症。二十数年前に再発し、右耳の聴力を失った。
一昨年、市内でカフェを開店。ろう者が来店した際、自身の身上のこともあり、耳が不自由な人の気持ちに寄り添える部分があると感じ、コミュニケーションを取る手段として手話に興味を持った。
こうしたなか昨年、同講習会の受講者が来店したことをきっかけに講習会の存在を知り、自らも受講することを決めた。
講義を通じて、基本的な手話表現などを学習した田邊さんは「講師の先生が耳の不自由な私にも配慮して丁寧に教えてくださったおかげで、しっかり学ぶことができた。ろう者のたすけになれるよう、これからも受講を続けたい」と語る。
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社会福祉課の橋本課長は、「視覚、聴覚に障害のある方に教祖の御教えを伝えたいという思いから始まった活動は、多くの教友によるひのきしんの実践によって支えられている。今後も、一人でも多くの方にご参加いただければと思う」と話した。
なお、3月8、9の両日には「手話通訳ひのきしん者養成講習会(後期)」が、15、16の両日には「音訳ひのきしん者養成講習会」が実施される予定。