時報歌壇(2025年2月26日号)- 植田珠實選
2025・2/26号を見る
【AI音声対象記事】
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初日さす空澄みわたり寒柝は自ら求めむ心澄ます音
八尾市 伏田 和子
サークルに集いてみんなテーブルにスマホ置いてる 剣のごとく
福山市 藤井 光子
サザンの「いとしのエリー」の英語詞を教える僕と聴き入る君と
北海道 堀 善道
おやさまのみ前の紅梅かへりくる子らをまちゐてつぼみふふめる
高槻市 石田たまの
母、さとは九十六歳で出直しぬ偲びてひとり元旦祭を座す
天理市 少名子眞知子
冬晴れの光が庭に敷かれおりそっとふみ出す乱さぬように
横浜市 及川 秀代
母屋の湯に泣くみどりごの勇ましさ 知らぬ同志の繋がり和む
和歌山市 芥川伊都代
人生の意味問う吾の足元を蟻がせっせと荷物を運ぶ
所沢市 岡田 陽一
専修科の昼の飯どきお節会の餅を競ひし君すでに亡く
秋田県 鎌田 正男
陽のひかり背中に頂き縫い初むひと針ひと針お供雑巾
川越市 酒井 笑子
付き添われ初席はこぶ遠き日は今につながる信仰のみち
東京都 藤井 節子
九十に近い姉より賀状あり文字の乱れにわれは切なし
熊野市 福山久美子
這いながらそれでも瞳かがやかせハンディキャップを乗り越えていく
玉野市 藤原 良用
閉じた目に母さんの笑顔浮かび来るあの笑い声たまらなく好き
宇佐市 三好 秋美
我ひとり今日も一人生きていくさびしさ秘めて生きる日日なり
京都市 寺澤 幸子
選者詠
ふとぶとと病むなと書きて封をする
大和のゆきはいつも積もらぬ
【評】
伏田さん――澄む寒さのなか、心に響く拍子木の音です。
藤井さん――スマホが武器にもなるという「今」を詠まれています。
堀さん――英語バージョンの「いとしのエリー」。聞いてみたいですね。
次回は、4月末までの到着分から選歌。投稿は短歌3首まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
〒632‐8686 天理郵便局私書箱30号「時報歌壇」係
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