ありのままを受け入れ、認める – 心に効くおはなし
わが家に来る里子たちのほとんどが、両親やそれに近い人によって虐待を受けた子供たちです。なかには、悪いことだと分かっていても、他人の自転車を勝手に乗り回したり、友達の文房具に手を出したりする子もいました。まだ若かった私は、そうした行動だけに目を奪われ、背後にある母恋しさや、何らかのSOSに気づいてやれなかったり、正しい道を教えたいと思って取った対応が、その場限りの強制になってしまったりしたことがあったと思います。
時は流れ、子供たちや共に暮らす人々に育てられ、いまの私があります。マイナスを数え上げるよりプラスを認め、励ましていくことで、人は大きく成長するということを、さまざまな場面で身をもって感じるようになりました。
わが家に来たときには表情の乏しかった子供たちも、自分を受け入れ、認めてくれる人がいることに気づいてくれたのでしょうか。笑顔が増えて、だんだんと明るい顔つきになっていきます。
里子たちは、実の親と暮らせる環境が整えば元の家に戻っていきます。本来の家族の姿を取り戻すことができれば、これほどうれしいことはありません。それでも子供たちは、ひと時を共に過ごした教会家族の一員であることに変わりはありません。わが家の家族が、一人また一人と増えていく姿をありがたく思いながら、毎日を積み重ねていきたいと思っています。