時報俳壇(8月31日号)- ふじもとよしこ選
礼拝場祈る頭に南風
貝塚市 守行富士子
風鈴の数だけ丸き宇宙あり
天理市 中山富貴
西見ればおぢば恋しく夕焼雲
豊川市 菊地美智代
蹲居の水に私語あり杜若
天理市 山田実
水打って銀座に風の生まれけり
東京都 吉田柳哲
太平洋一望しつつ夏料理
観音寺市 川上隆子
石段のでで虫越えて朝参り
飯田市 本島美紀
爺の歳かぞへて上がる菖蒲の湯
札幌市 田森つとむ
盗人を招くまぶしさ白あじさい
天理市 北をさむ
夏の蝶発掘の背につきまとふ
近江八幡市 若林白扇
友逝きて空見る夕や合歓の花
大津市 平井紀夫
滴りに背の打たれけり苔仏
田原本町 松村ヒロ子
減反の寂しき声や雨蛙
高崎市 正田久美代
総会の初の笛役風薫る
二戸市 高屋敷節子
宇治橋をまっすぐわたり新茶買う
福岡市 鎌田秀徳
梅雨寒や嫁ぐ娘と一つ傘
東京都 大矢典子
風薫るみゆきの詩歌に出会いけり
堺市 加藤恵秋
山里の人の手ばかり田植かな
浜松市 鈴木和加恵
秩父路へ汽笛の清し梅雨明ける
三芳町 金谷武
魂の反戦の歌蝉時雨
宇治市 原清彦
二席運ぶ孫との地場や薄暑光
町田市 鯉渕洋子
緑陰にオカリナの曲風に乗り
今治市 仙波絹子
帷子の大路をそれて縄のれん
橿原市 東博
老夫婦L字になりて三尺寝
京都市 西加代子
虹立ちぬ終着駅のホームに見る
氷見市 津田直俊
怖ごわと持つ手かわいい花火の夜
北九州市 石井喜代美
田植する人それぞれのかぶり物
田辺市 石田安子
選者詠
夏草の車輪を隠す引き込み線
【評】
守行さん
久々の本部神殿参拝。深々と頭を下げて祈る作者の上を夏風が渡ってゆきます。身も心も軽くなり、親の思いを深く感じるひと時なのです。
中山さん
軒ごとに吊るされる風鈴。風に応えて心地よい音が涼感を誘います。風情があり、心を和ます風鈴を「丸き宇宙」との表現に惹かれます。
菊地さん
本部参拝も久しくなり、毎日見る西空を美しく染める夕焼雲。茜色の暖かさに教祖、おぢばを恋しく思う作者です。
次回は、10月末までの到着分から選句。投稿は秋の季語(8、9、10月)を用いた俳句3句まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
〒632‐8686 天理郵便局私書箱30号
「時報俳壇」係
Eメール[email protected]