“をやの世界観”絵筆で伝えたい 日本画家・絵画教室「アトリエ陽気」主宰 村田和香さん – ようぼく百花
絵筆を通じて、をやの尊い世界観を世の中へ伝えたい――。
日本画家の村田和香さん(66歳・所澤市分教会長夫人・埼玉県所沢市)は、これまで教内出版物のイラストや挿絵を数多く手がけてきた。また、教内外の美術展への出展や個展の開催など“ようぼく画家”として精力的に活動。講演や絵画教室の運営など、次代の育成にも力を注いでいる。
京都市内の教会で生まれ育ち、幼いころから絵に親しんできた。嵯峨美術短期大学日本画専攻科を卒業後、4年間、同大の日本画研究室で助手として勤務。27歳のとき、教会長後継者のもとへ嫁いだ。
そのころから、学生時代の縁で教内出版物のイラスト制作の依頼を受けるように。
昭和59年、教祖100年祭の折に記念出版された海外版絵本『おやさま』(少年会本部)の原画を担当。その後、出産を経て、子育てが落ち着いてからは、教会の御用をつとめながら、教内の女性芸術家で構成される「グループ台」の一員として、絵画制作を再開した。
こうしたなか、平成18年に兄が末期がんと診断された。村田さんは、自分にできるおたすけを思案する中で「教祖のひながたを、心を込めて描こう」と、紙芝居「おやさま」を3年かけて独自に制作。病床の兄が制作中の原画に目を通した際には、笑顔を見せたという。
兄が出直した21年、パリ日仏文化協会での作品展に参加した。その際、紙芝居「おやさま」を披露したところ、教友から多くの反響があった。
以後、「兄に喜んでもらったように、たくさんの人たちに感動を伝えたい」と、各地の教会へ赴いて紙芝居を続けてきた。
節を通じて教えを求め
「にをいがけの一助になれば」と、絵画教室「アトリエ陽気」を自教会の一室で始めて20年が経った。
現在、未信者を含む大人から子供まで18人の生徒を週1回指導している。「自分も見た人も喜ぶような絵を楽しみながら描いてほしい」との思いから、生徒一人ひとりの関心ある画材やテーマを重視した指導を心がけている。
当初は、教会で絵を描くことに迷いがあったと振り返る村田さん。一方で、教室を通じて身上・事情を抱える人と出会うことも少なくなかった。
また、家族の出直しなどさまざまな節を見せられる中で、教えを求めながら自分自身と向き合い、筆を執り続けてきた。
そんななか、5年前に「元の理」の世界をテーマにした作品の制作に着手。今年5月、30枚から成る連作を描き上げた。
「絵を描いて形にすることで、多くの人にをやの尊い世界観を伝えられたらうれしい。これからも、教祖のお導きのままに通らせていただき、人に喜んでもらえるよう、絵画を描いていきたい」
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現在、村田さんの絵画44点を展示した「いのちのいさい」展が、おやさとやかた南右第2棟で開催中。会期は9月28日まで。