創立100周年へ“学びの再編成” – 天理大学
2024年4月に大幅改組
天理大学(永尾教昭学長)はこのほど、2024年4月に学部・学科を大幅に改組する方針を明らかにした。これは、2025年に迎える同大の創立100周年に向けて、「陽気ぐらし世界建設に寄与する人材の養成」という建学の精神を再確認しつつ、社会の要請に応え得る人材の輩出を一層推し進めていくことを目的とするもの。
再来年度、天理大は「人文学部」「国際学部」「体育学部」「医療学部」の計4学部15学科制のもと、新たなスタートを切る。今回の改組は、現行のすべての専攻を廃止して学科に再編し直すとともに、既存の学習プログラムを全面的に改訂し、将来を見据えた学びの充実と可視化を行うもの。ここでは“学びの再編成”の三つの特徴を中心に紹介する。
10言語が学べる体制に
「国際学部」では、韓国・朝鮮語、中国語、英語、タイ語、インドネシア語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、スペイン語、ブラジルポルトガル語の10言語が学べる体制となる。外国語の専門教育体制が拡充・整備されることにより、外国語教育を基盤としつつ、国内外で文化の壁を越えて活躍できる国際人の養成が期待される。
少数精鋭による宗教学科
新設の「人文学部」に置かれる「宗教学科」を天理大の“フラッグシップ学科”とあらためて位置づけ、教員数6名に対して1学年20名の少数精鋭教育を実施し、次代を担うリーダー人材を育成する。現在、在学中に参加できる長期海外実習プログラムを検討している。
専攻を学科に拡充
「人文学部」の場合、これまで「人間関係学科」に置かれていた臨床心理、生涯教育、社会福祉の各専攻は、それぞれ「心理学科」「社会教育学科」「社会福祉学科」となり、定員を増加する。
「心理学科」では、臨床心理士と公認心理師の養成プログラムを堅持しつつ、心理学を志望する学生にも広く門戸を開く。「社会教育学科」は、社会教育主事や社会教育士の養成とともに、地域社会での学習支援を指導する人材育成を目指す。「社会福祉学科」は、近年の教内志願者の増加傾向に鑑みて定員を50名に引き上げ、社会福祉士、精神保健福祉士の育成に注力する。
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このほか「体育学部」は、定員を200名から240名へ増員。また、来年度に新設される「医療学部」は将来、保健、心理、社会福祉等のプログラムと連携し、天理大独自の心身両面からの研究の構築を目指す。
さらに、教員免許については、新たに「公民」と「スペイン語」の2教科の取得が可能になるなど、資格分野も充実される。
なお、改組に関する情報は随時、天理大ホームぺージ等にアップされる。
天理大改組に関する情報は下記URLから
https://tenri-u.jp/reorg/
改組後の学部概要
人文学部 定員:240名
人文学こそ、究極の「実学」。教養を力に、地域社会と共創できるひとに。
宗教学科/国文学国語学科/歴史文化学科心理学科/社会教育学科/社会福祉学科
国際学部 定員:290名
他者を受容する心と語学力で、多文化共生時代の「架け橋」に。
韓国・朝鮮語学科/中国語学科/英米語学科外国語学科(タイ語、インドネシア語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、スペイン語、ブラジルポルトガル語)/国際文化学科/日本学科
体育学部 定員:240名
体育やスポーツの素晴らしさを伝え、笑顔あふれる社会をつくるひとに。
体育学科
医療学部 定員:100名
人に尽くすことを自らのよろこびとする。「健やか」の実現を支える医療人に。
看護学科/臨床検査学科
(設置構想中)
いま求められる“他者への貢献” – 永尾学長に聞く
今回の改組のねらいは、3年後に迎える創立100周年を「白紙に戻り一より始める旬」と位置づけ、あらためて創立の元一日に思いを致し、本学の存在意義を世に広く示すことにある。本学はもともと海外へ雄飛する布教師の養成を目的に設立された。そうした原点に返る意味でも、あらためて外国語教育にも重きを置いている。
改組に先んじて、来年春には天理医療大学との統合に伴い「医療学部」を新設する。これにより、多方面で医療分野との連携が可能になるほか、昨今ニーズが増している社会人教育の拡充も考えていきたい。おたすけにもさまざまな資格が求められつつある昨今、お道の看護師、臨床検査技師、社会福祉士などの活躍が期待される。
改組のスローガンである「他者に貢献する教養を」は、滅私奉公の精神を意味するのではなく、自分を生かしつつ、他者の幸せやたすかりを願うというものだ。「諭達第四号」に、「今日、世の中には、他者への思いやりを欠いた自己主張や、刹那的行動があふれ」と示されるように、人を思いやり、相手のために行動できる資質を備えた人材がいま、ますます求められている。
来年からの3年間に入学する学生は、教祖140年祭を天理大学生として迎えることになる。この“たすけの旬”をおぢばで過ごすことの意義は大きい。皆さまには、本学への進学について幅広い呼びかけをお願いしたい。