3年ぶり“日本一”に輝く – 天理高弦楽部
日本学校合奏コンクール
天理高校弦楽部(新誠一部長)は11月19日、千葉市の千葉県文化会館で開催された第11回「日本学校合奏コンクール2022全国大会」(主催=同委員会、後援=文化庁ほか)ソロ&アンサンブルコンテスト高等学校の部に出場し、第1位相当の「文部科学大臣賞」を受賞した。同賞に輝くのは、3年ぶり5度目。
このコンクールは、子供たちの音楽性と演奏力を高めるとともに、豊かな情操と人間性の育成を目指して10年前に始まったもの。
同部は7年前、天理教音楽研究会「弦楽教室」へ通う4人の部員でカルテットを組んで初挑戦し、「文部科学大臣賞」受賞。以後、弦楽合奏で出場を続けてきた。
今年披露した曲は、チャイコフスキー作曲の『弦楽セレナーデ』。敬愛するモーツァルトの精神へと立ち返ることを目的に同曲を制作したチャイコフスキーは、パトロンに宛てた手紙の中で「強い内的衝動によって書かれたもので、だからこそ真の芸術的な価値を失わないものです」と記している。
今回、演奏したのは同曲の第4楽章。上田真紀郎コーチ(45歳)は「作曲者自身が記しているように、非常に芸術性の高い作品。部員たちには、第4楽章だけでなく全楽章の流れをイメージすることで、作曲者の思いや考えに近づくことを意識させた」と話す。
音楽的に隙のない名演
高校の部には、予選を通過した11校が出場。本番直前、部員たちはおぢばを遙拝し、ステージへ。
冒頭、弱音器をつけたバイオリン、ビオラが静かにロシア民謡のテーマを奏でる。幻想的な雰囲気の序奏に続き、主部では一転して第1バイオリンの快活なメロディーが響きわたる。さらに、バイオリンが細かくピチカートを鳴らすなか、チェロが優雅な旋律を披露。終盤では、同曲第1楽章の冒頭部分がドラマチックに奏でられた後、再び第4楽章の快活なテーマが流れ、ムードが最高潮に達したところで終演した。
結果発表では、同校は3年連続の「金賞」受賞。最後に、司会が「文部科学大臣賞――天理高等学校」とアナウンスした瞬間、部員たちは喜びのあまり涙を流した。
プロ奏者や指揮者から成る審査員たちは「各楽器がよく鳴っていて、とても20人のアンサンブルとは思えない」「冒頭の繊細な美音で魅了され、最後まで一貫して音楽的に隙のない名演」と評価。5人中3人が、技術点・芸術点ともに満点をつけた。
コンサートミストレスの田川ふみさん(3年・バイオリン)は、「日ごろからメンバー全員で音楽をつくることを意識したことで、舞台でも自分たちの力を最大限に表現できた。後輩たちには、聴いてくださる人を幸せにするような演奏を目指してほしい」と語った。
天理高弦楽部の演奏動画を視聴できます