おやのことば おやのこころ(2021年4月18日号)
四ッ よくをわすれてひのきしん
「みかぐらうた」十一下り目
これがだいゝちこえとなる
春の陽気に誘われ、家族で庭木の植え替えを行いました。スコップを手に体を動かしていると、額にうっすらと汗が浮かんできます。
柔らかな風は、湿った土の匂いをはらんでいます。掘り起こした土を触ると、ほのかに温みが感じられます。この地の温みが“芽吹きの合図”となるのか、庭の草花も日一日と彩りを増しています。日差しを浴びる地面は、まさしく命を育む土壌なのです。
その土壌をより豊かにしているのが肥の働きです。わが家では、草木に合った肥を季節ごとに施しています。幼い娘二人の出生記念樹も、おかげで順調に成育中です。豊かな土壌からは豊かな命が育つ。火水風のご守護はもとより、肥の恵みのありがたさが、あらためて胸に込み上げてきます。
「四ッ よくをわすれてひのきしん これがだいゝちこえとなる」
欲を忘れ、報恩感謝の思いで行うひのきしんが肥になる、とお教えいただきます。
自然界の摂理と同じように、豊かな信仰を育むには肥の伏せ込みが欠かせません。そのためにも率先してひのきしんに励み、成人のための土壌づくりに努めたいものです。そうした親の求道の日々を通して、子供たちの信仰の芽も育まれるのだと思います。
春の花々と緑の競演は今が盛り。躍動感あふれる命の息吹を感じながら、今日も勇んでひのきしんに励ませていただきましょう。
(お)