天理時報2023年12月13日号8面
【血を流す、汗を流す、カネを出す – 手嶋龍一のグローバルアイ30】あの日の屈辱はいまも忘れられない。「自由の回復に手を貸してくれた国々よ、有難う」。ワシントン郊外の自宅に配達されたニューヨーク・タイムズ紙にはクウェート政府のメッセージが大きく掲載されていた。だが、感謝を捧げた国々のリストにニッポンの名は見当たらなかった。イラクのサダム・フセイン軍の脅威に直面したサウジアラビアを除けば、日本政府は140億ドルにのぼる最多の湾岸戦争の戦費を負担しながら、その貢献は少しも評価されなかった。血を流す、汗を流す、カネを出す。戦乱に臨んでそれぞれの国には三つの手段がある。1991年の湾岸戦争に際して、日本は実戦部隊を派遣することはもとより、国連の平和維持活動に自衛隊を派遣する法的な備えすら持ち合わせていなかった。それゆえ緊急の増税法案を通して巨額の戦費を賄わなければならなかった。だが、極東の経済大国は中東の石油に最も依存しながら、血も汗も流さず、全てをカネで済ますのかという非難の声に晒されたのだった。あの屈辱から30年余り、いまでは紅海に面するジブチには護衛艦が派遣され、それなりの国際貢献を果たしている。だが、パレスチナのガザ地区で子供や女性が日々犠牲になっている現実を前に、G7(主要7カ国)の議長国をつとめるニッポンは立ち竦んでいるように見える。岸田総理はこのほど中東を訪れ、パレスチナ難民を受け入れているエジプトに340億円、パレスチナ自治政府に100億円、緊急人道支援として現地に15億円を支援すると申し出た。だが、停戦に向けた外交努力をはじめ人的な貢献策は何ら示されなかった。わがニッポン外交は、湾岸戦争時に逆戻りしつつある。日本が100億円を支援するパレスチナ自治政府は、幹部の汚職がはびこり民衆の支持も低い。行政システムも医療施設も壊滅状態にあるガザ地区を、ハマスに替わって統治する能力が果たしてあるのか疑わしい。そんなアッバス議長率いるパレスチナ自治政府に巨額の支援を渡しても、真に援助の手を待ちわびる現地の人々に届くのか定かではない。, 【駐日ネパール大使夫妻が来訪 – 親里往来】一手一つの姿に感銘 天理大学生と交流も在日本ネパール国大使館のスベディ大使夫妻は、本部神殿で参拝したほか、天理大学生と交流した(12月1日)在日本ネパール国大使館(東京都目黒区)のドゥルガ・バハドゥール・スベディ大使夫妻が来訪し、本部神殿で参拝したほか、天理参考館や天理図書館を見学。また、スベディ大使は天理大学で特別講演を行い、同大学外交官養成セミナーの受講生と交流した。 日本とネパールが国交を樹立したのは1956年。2年後、中山正善・二代真柱様の世話取りで、ラム・クリシュナ・バルマ氏が天理大学選科日本語科の第1期生として留学し、本教のネパールの道が開かれた。その後、大向良治・初代ネパール連絡所長が、国立トリブバン大学日本語コースの講師を長年務めたことが評価され、86年、同国から「教育功労賞」を受賞。2000年、天理大学とトリブバン大学は国際交流協定を結んだ。今回の来訪は、原典をはじめ教理書のネパール語翻訳に協力者として長年関わるビプラブ・ダカール氏(トリブバン大学教授・北洋大教会ようぼく)とスベディ大使が交友関係にあったことから実現。来訪に際し、天理大で特別講演をすることが決まった。歴代ネパール大使の来訪は、スベディ大使で7人目となる。1日、大使夫妻は、海外部員の案内を受け本部神殿で参拝。この後、参考館と図書館を見学した。スベディ大使は「参考館の幅広いジャンルの展示品の数々に圧倒された。異なる土地へ移っても信仰を持ち続けた天理教の人たちの姿が印象的だった」と感想を語った。この後、大使は天理大学で「ネパールの政治、経済、社会・文化の様相と日本との関係」と題する特別講演に立った。ネパールの成り立ちや日本との交流の歴史などを英語で紹介するとともに、学生の質問にも丁寧に答えていた。最後に、天理大学の外交官養成セミナー受講生6人と交流した。スベディ大使は「一人ひとりが教えに基づいて信仰している姿はもちろん尊いが、教友が一手一つに信仰している姿に感銘を受けた。本部神殿で参拝する学生をはじめ、老若男女問わず熱心に信仰している様子が印象的だった。天理は、日本とネパールの関係構築に貢献してきた歴史がある。特に、ネパールにおける日本語教育において、天理大学が果たした貢献は大きい。これを踏まえ、今後も天理大学で多くのネパール人留学生を受け入れていただき、両国の関係が、より一層緊密になっていくことを期待したい」とコメントした。, 【道友社の本【立教186年 2023年 刊行の本 上】】